歯周病が人にうつることがあると聞きました

西早稲田の歯医者さん、西早稲田駅前歯科・小児歯科・矯正歯科です。
今回のテーマは「歯周病の人から人への感染」です。
「歯周病は人から人にうつる」と聞いたことがある人も多いと思います。

そこで回答すると、正確には歯周病そのものが直接うつることはなく、例えば重度の歯周病であるAの人から症状ごとそのままBの人にうつることはありません。正確な表現は「歯周病がうつる」ではなく「歯周病菌がうつる」です。

歯周病菌の人から人への感染

歯周病は細菌による感染症で、発症の原因となるのは歯周病菌です。
この歯周病菌は口の中に存在していますが、唾液を介すと移動することがあります。
冒頭の例と同じように解説すると、例えばAの人が重度の歯周病だとします。

ここでAの人とBの人の唾液が介された場合、Aの人が持つ歯周病菌がBの人に移動するのです。
あくまで原因菌の移動ですから、Bの人に歯周病が発症するとは限りません。
しかしBの人に歯周病菌がうつる以上、Bの人は歯周病が発症するリスクを抱えることになります。

歯周病菌がうつる行為

歯周病菌は唾液を介して人から人にうつりますが、唾液を介す行為とはどのようなものがあるのでしょうか。
そこで、一般的に歯周病菌がうつりやすい行為を挙げてみます。

・同じ皿に入っているものを複数で食べる
・ペットボトルに入っている飲み物を回し飲みする
・歯磨き時に家族が同じコップを使ってうがいする
・キスをする
・歯ブラシ同士が接触する

このように行為としてはいくつか挙がりますが、いずれの行為も親しい間柄でしか行わない行為です。
このため歯周病…正確には歯周病菌は、家族間でうつるケースが多いのです。
では、こうした家族間での歯周病菌の感染はどのように予防すれば良いのでしょうか。

方法自体は簡単で、ここで挙げたものを含めた唾液を介す行為を一切しなければ良いだけです。
しかしそれは難しく、歯周病の予防のために親が子供にキスするのを控える家族はまずいないでしょう。
ですから行為を控えることよりも、家族全員で歯周病を予防する意識を持つことが大切です。

歯周病菌に感染しやすい人

歯周病菌に感染するリスクは人によって差があります。
そしてそれは個人差という意味ではなく、様々なことが要因として挙げられます。

疲れている人

身体が疲れている人は免疫力が低下しているため、細菌に感染しやすくなります。
疲労の蓄積で風邪を引くケースがありますが、歯周病もまた細菌による感染症です。
このため、疲れで身体の免疫力が低下している人は歯周病菌にも感染しやすくなるのです。

タバコを吸う人

喫煙はその行為自体が歯周病菌に感染するリスクを高めます。
これは数値でも示されており、喫煙者が歯周病になるリスクは非喫煙者のそれに比べて5倍以上です。
また、喫煙していると歯肉の腫れが見た目上抑えられるため、歯周病の発見が遅れて重症化しやすくなります。

噛み合わせが悪い人

噛み合わせが悪いと、噛み合わせた時に特定の歯に過剰な負担がかかります。
この負担が歯肉にも影響し、炎症を起こして歯肉炎になってしまいます。
歯肉炎は初期の歯周病を意味しますから、治療しなければ本格的な歯周病に進行していきます。

唾液の量が少ない人

唾液の量が少ない人は口の中に細菌が残りやすく、また繁殖もしやすくなります。
特に口呼吸の人は唾液が蒸発してしまい、そのため口の中が乾燥状態になります。
そうすると歯周病菌の働きが活発になってしまい、歯周病菌に感染するリスクが高まります。

定期検診のすすめ

歯周病の予防は歯磨きだけでは難しく、確実に予防するなら定期検診の受診を心掛けましょう。
定期検診では、歯のクリーニングなど歯周病を予防するための治療が充実していますし、
歯磨き指導など自身のプラークコントロールを高める効果もあります。

また、定期検診を受診することで歯周病の早期発見も可能なため、
本来自分では気づかないほど初期の歯周病の発見と治療によって重症化を防げます。
歯周病菌の人から人への感染を防ぐため、自分だけでなく家族全員で定期検診を受診するのが理想です。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、歯周病の人から人への感染についてまとめます。

1. 歯周病菌の人から人への感染 :歯周病菌は唾液を介して人から人へ移動する
2. 歯周病菌がうつる行為 :同じ皿に入っているものを複数で食べる、回し飲みなどの唾液を介す行為
3. 歯周病菌に感染しやすい人 :疲れている人、タバコを吸う人、噛み合わせが悪い人、唾液の量が少ない人
4. 定期検診のすすめ :歯周病を予防するだけでなく、早期発見して重症化を防げる

これら4つのことから、歯周病の人から人への感染について分かります。
まとめると、歯周病そのものが人から人へうつることはないものの、その原因菌がうつることはあります。
具体的には、唾液を介すことで原因菌…つまり歯周病菌が移動するのです。
ですから、歯周病の予防は自分だけで徹底していても効果として充分でなく、家族全員で予防意識を高めてこそ初めて高い確率での予防が可能です。