虫歯はないけど歯周病になりました。同じ予防方法なのになぜ歯周病だけ起こったの?
西早稲田の歯医者さん、西早稲田駅前歯科・小児歯科・矯正歯科です。
今回のテーマは「虫歯と歯周病は同じ予防方法なのになぜ一方だけ起こるのか」です。
虫歯と歯周病の予防方法は同じです。そう考えるとしっかり予防していれば両方を予防、
逆に予防できなければ両方の症状が起こると連想できます。
しかし、実際にはそうとは限りません。もちろん、前述したように両方しっかりと予防できている人はいますし、
逆に両方の症状に悩まされている人もいるでしょう。ところがそうではなく、
どちらか一方の症状だけ起こる人もいるのです。この場合、一方しか予防できていないことになるのです。
さて、同じ予防方法なのになぜ一方だけが起こる、つまり一方だけしか予防できないことがあるのでしょうか。
1. 細菌の種類の違い
虫歯も歯周病もプラークの中に存在する細菌によって起こります。
つまりどちらにおいてもプラークの除去が予防の基本であり、だからこそ予防方法は同じとされているのです。
しかし、予防方法は同じでも症状を引き起こす細菌は種類が異なり、
虫歯はミュータンス菌と呼ばれる虫歯菌、歯周病は歯周病菌によって引き起こされるのです。
そして、症状を引き起こす細菌の種類が異なる以上、どちらか一方だけ引き起こすこともあり得るのです。
これはインフルエンザに例えるとよく分かります。インフルエンザにはA型やB型などの種類がありますが、
どの種類のインフルエンザも予防方法は同じです。しかし要因となる菌の種類が異なるため、
A型は予防できたけどB型にかかった、もしくはその逆もあり、虫歯と歯周病にも全く同じことが言えるのです。
2. かかりやすさの違い
上記のインフルエンザをそのまま例にすると、インフルエンザは種類によってかかりやすさが違います。
具体的には、A型が流行している場合はB型に比べてA型にかかりやすくなります。
これと同じで、虫歯と歯周病においても一方にかかりやすい状況があるのです。
例えば、妊娠している女性は女性ホルモンの影響で歯周病にかかりやすくなります。
また、日頃から甘いものをたくさん食べている人は、糖の摂取によって虫歯にかかりやすくなります。
つまり、予防方法は同じでもかかりやすさに差があるケースがあり、
この場合どちらか一方にかかってしまうことがありますし、むしろそうなる可能性が高いのです。
前述した例で言えば、妊娠中の女性は虫歯の予防はできても歯周病は予防しにくい状況にあるのです。
3. 人にうつされる可能性
虫歯も歯周病も細菌に感染することで起こりますが、これらは人から人にうつります。
虫歯や歯周病そのものが直接うつることはないですが、要因となる細菌は人から人にうつるのです。
うつる経緯は唾液であり、唾液を介すことで虫歯菌や歯周病菌は人から人にうつっていくのです。
また、唾液を介す行為を連想するとキスや食器の共用などが挙げられます。
どちらも恋人や家族同士で行う行為であり、虫歯菌や歯周病菌は親しい間柄同士でうつることが分かります。
仮にあなたが虫歯と歯周病の予防を徹底していたとして、あなたの家族が歯周病だったとします。
この場合、食器の共用などが理由で家族が持つ歯周病菌があなたにうつり、
結果的にあなたは虫歯にならずに歯周病にだけかかってしまうことになるのです。
4. 歯磨きの仕方の問題
虫歯と歯周病予防の徹底に自信がある人は、普段の歯磨きも丁寧に行っていると思います。
しかし、磨き方によっては虫歯だけ招く、もしくは歯周病だけ招くことがあるのです。
例えば、デンタルフロスや歯間ブラシを例にして説明すると、
デンタルフロスは歯と歯の間の隙間を磨くためのもので、虫歯予防に効果的です。
一方歯間ブラシは歯と歯肉の間を磨くためのもので、歯周病予防に効果的です。
つまり、デンタルフロスを使用している人は虫歯が予防できても歯周病は予防できないことがあるのです。
ただ、これはデンタルフロスや歯間ブラシの欠点を言っているわけではありません。
どちらの使用もブラッシングだけの歯磨きに比べて予防効果は高いため、使用することはむしろおすすめです。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、虫歯と歯周病は同じ予防方法なのになぜ一方だけ起こるのかについてまとめます。
- 細菌の種類の違い :症状を引き起こす要因となる細菌の種類が異なるため、一方だけ起こることもある
- かかりやすさの違い :例えば妊娠中は歯周病にかかりやすい。この場合、歯周病だけ起こることがある
- 人にうつされる可能性 :人から虫歯菌をうつされた場合、虫歯だけ起こることになる
- 歯磨きの仕方の問題 :デンタルフロスは虫歯予防に効果的、歯間ブラシは歯周病予防に効果的
これら4つのことから、虫歯と歯周病は同じ予防方法なのになぜ一方だけ起こるのかが分かります。
虫歯と歯周病、どちらか一方だけ起こるのはここでお伝えした4つのことが理由です。
どちらか一方だけ起こる可能性がある以上、虫歯がないからといって歯周病もないとは限らないですし、
逆に歯周病がないからといって虫歯がないとも限らないのです。