虫歯のない人が歯周病になることはあるのでしょうか?

虫歯と歯周病、この2つの予防方法は基本的に同じです。
毎日のブラッシングに加え、歯科医院で定期検診を受けることが最大の予防策と言われているのです。
と言うことは、ブラッシングと歯科医院の定期検診を欠かさなければ、
これら2つは同時に予防できることになります。では同時に予防できる以上、
虫歯がない人は絶対に歯周病にもなっていないのでしょうか?今回はそれについて考えていきます。

1. 虫歯とは

虫歯は歯の病気で、プラーク内に潜む虫歯菌によって引き起こされます。
虫歯菌が出す酸が歯を溶かして穴をあけ、進行することで虫歯菌が歯の奥や神経にまで達します。
歯周病に比べて厄介なのは、痛みを感じるところで、虫歯菌が神経にまで達した時は激痛を感じます。

また、虫歯菌は糖を吸収することでよりたくさんの酸を出しますが、
「甘いものを食べると虫歯になりやすい」と言うのは虫歯菌のこの特徴から言われているのです。
予防するには虫歯菌が潜むプラークを除去することで、丁寧なブラッシングが必要になります。

2. 歯周病とは

歯周病は歯茎の病気で、プラーク内に潜む歯周病菌によって引き起こされます。
歯茎に炎症を起こさせ、それによって膿みが出たり歯茎から出血しやすくなります。
進行することで歯を支える顎の骨を溶かしてしまうため、最終的に歯が抜け落ちてしまうのです。

また、妊娠している女性が歯周病になると早産になるリスクが7倍高まるので注意が必要です。
予防するには歯周病菌が潜むプラークを除去することで、この点は虫歯の予防方法と全くです。
ただし、プラークは時間が経つと歯石となり、一旦歯石になるとブラッシングでは除去できなくなります。

3. それぞれの治療方法

虫歯を治療方法は、虫歯菌に侵された歯を削ることです。
ただし、進行状況によって削る量は大きく変わり、完全な初期段階なら削らずに治療することも可能ですし、重度になると治療不可となり抜歯で対処します。
また、ある程度虫歯が進行してしまうと神経を抜かなければならないこともあります。

一方、歯周病の治療方法は口内を清潔にすることがメインになります。
クリーニングによってプラークや歯石を除去し、歯周ポケット内も綺麗に清掃します。
ただし、進行することで外科的治療が必要になったり、最悪抜歯が必要になるケースもあります。

4. 虫歯がなくても歯周病になる

ここまでの説明で予想できると思いますが、虫歯と歯周病は全くの別物です。
プラーク内の細菌で引き起こされるという共通点であるため、確かに予防方法は同じです。
しかし、肝心の細菌の種類は全く別なため、虫歯がなくても歯周病になることはあるのです。
最も、逆のパターンにも同じことが言え、歯周病がなくて虫歯になるというのもあり得ることなのです。

また、それぞれ虫歯になりやすかったり歯周病になりやすいという体質の人もいます。
唾液が少なくてネバついている人や、噛み合わせのバランスが悪い人は虫歯になりやすいですし、
喫煙する人や糖尿病を持っている人は歯周病になりやすいというデータがあります。
このため、虫歯がないからと言って歯周病を軽視してはいけないですし、
歯周病がないからと言って虫歯もないと判断するのも禁物です。

5. 初期の虫歯と歯周病

では、虫歯と歯周病のそれぞれの初期段階の症状を説明しておきます。
虫歯の場合は歯が黒く変色し、歯周病の場合は歯茎が赤く変色して腫れてきます。
つまり、虫歯は歯に異変が起こり、歯周病は歯茎に異変が起こるわけです。

これが目立つ箇所の歯や歯茎なら一目瞭然でしょうが、奥歯やその周辺の歯茎の場合、
なかなかその異変に気付くのは難しいと思います。
その意味でも、やはり歯科医院で定期検診を受けることが大きな予防策になると言えるでしょう。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、虫歯のない人が歯周病になることはあるのかについてまとめます。

  1. 虫歯とは :歯の病気。虫歯菌の出す酸によって歯が溶かされ、穴があいて進行していく
  2. 歯周病とは :歯茎の病気。歯周病菌によって歯を支える顎の骨が溶かされ、最終的に歯が抜けてしまう
  3. それぞれの治療方法 :虫歯治療では歯を削り、歯周病治療では口内をクリーニングする
  4. 虫歯がなくても歯周病になる :虫歯がなくても歯周病になることはあるし、その逆もあり得る
  5. 初期の虫歯と歯周病 :虫歯は歯が、歯周病は歯茎が変色する。なかなか気付けないこともある

これら5つのことから、虫歯のない人が歯周病になることはあるのかが分かります。
虫歯と歯周病は同じ口内の病気ですが、それぞれを引き起こす細菌の種類は異なります。
つまり2つは全くの別物であり、どちらか一方だけ引き起こすことは充分にあり得るのです。

また、どちらも進行すると症状は深刻になり、治療も大変でつらいものになってしまいます。
このため、予防だけでなく虫歯や歯周病を早期発見すると言う意識も持ってください。
そのためには、歯科医院で定期検診を受けることが欠かせないのです。