どんな場合インプラントの手術ができない?

インプラントは誰にでも可能な治療ではなく、場合によっては手術できないこともあります。
これは患者さんの体調、体質が理由になっており、口内の状態全てで決まるわけではありません。
中には、一見インプラントと無関係に思える理由で手術できないケースもあり、ここでは、実際に手術できないと判断されるケースを紹介していきます。

1. 判断するのは歯科医

まず知っておかなければならないのは、手術できるかどうかの最終判断をするのは歯科医ということです。
つまり、国で定められた法律があるわけではないですし、絶対的な基準があるわけでもありません。
このため、ある歯科医に手術できないと言われても、別の歯科医に手術可能と言われるケースもあります。

ネットなどで調べてみると、同じ理由でも手術できた人とできなかった人がいます。
これは、最終判断を下している歯科医がそれぞれ違うことが理由になっているのです。
このため、確実なのは治療を考えている歯科医院で、実際に担当歯科医に相談してみることです。

2. 歯周病でできないケース

重度の歯周病になっている場合、インプラントの手術ができないことがあります。
これは、インプラントの構造が関わっており、インプラントを歯の骨に埋め込む必要があるからです。
歯周病は歯を失う病気として知られており、進行すると歯の骨を溶かしてしまいます。

そして、あまりに酷い状態になると、歯の骨がほとんど失われ、インプラントを埋め込めなくなります。
つまり、歯周病が進行していることで、インプラントが埋め込めなくなり、手術が不可能になるのです。
ちなみに、骨移植を行うことで手術可能になることもありますが、その分の費用が発生します。

3. 年齢が理由でできないケース

インプラントにおいては、年齢制限は定められていません。
しかし、患者さんの年齢によっては、手術が受けられないケースもあります。
まず、成人していない若い患者さんの場合、骨が成長の途中であることが問題になってきます。

成長の途中でインプラントすることで、成長を終えた時に問題が生じる可能性があるからです。
また、口内だけとは言え、インプラントの手術は体力が必要となります。
このため、それに耐える体力がないと判断された高齢の患者さんも、手術を受けられないことがあります。

4. 糖尿病でできないケース

糖尿病になると、細胞に糖が送られなくなるため、それによって細胞に支障をきたします。
そうなると、傷の治癒力が悪化したり、細菌の感染に対する抵抗力が低下してしまいます。
どちらの症状も手術時にリスクを生じさせるため、インプラントの手術ができなくなるのです。

ただし、「糖尿病=インプラントできない」とまでは断言できません。
と言うのも、血糖値のコントロールが良好であれば、手術可能と判断されることもあるからです。
つまり、糖尿病であることはもちろん、血糖値が良好にコントロールできているかがキーになります。

5. 全身疾患があるケース

口内の手術を行うインプラントとは無関係に思えますが、全身疾患がある患者さんも対象になります。
肝疾患の場合は、手術を行った際に出血が止まらないことがありますし、腎疾患を患っている場合は、骨が脆くなっていることで、インプラントが埋め込めないのです。

どちらも手術に危険を伴う要因であり、こうしたリスクの有無も、手術できるかどうかの判断に関わります。
このように、一見インプラントと無関係な病気が、実はインプラントの危険性を高めるケースがあります。
このため、何らかの持病がある患者さんは、必ずそのことを歯科医に告げておく必要があるのです。

6. 対処方法を考える

インプラントの手術ができないケースは他にもありますが、手術できないケースを知るだけでなく、その対処方法を考えることも大切です。
と言うのも、手術できないケースに遭遇しても、その対処方法が存在する場合もあるからです。

例えば、歯周病の場合なら、単純に歯周病の治療を行って治せばいいですし、骨の量が元々不足しているなら、骨造成という治療も存在するのです。
ただし、こういった対処の治療を行う場合は、そのための費用が必要になることを忘れないでください。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、どんな場合にインプラントの手術ができないかについてまとめます。

  1. 判断するのは歯科医 :手術可否の最終判断は歯科医が行うため、歯科医ごとで結論が異なることもある
  2. 歯周病でできないケース :歯の骨が溶けるほど進行すると、インプラントが埋め込めない
  3. 年齢が理由でできないケース :骨が成長途中の若い患者さん、体力が不充分な高齢の患者さんが該当
  4. 糖尿病でできないケース :血糖値のコントロールが良好かどうかで、手術の可否が決まる
  5. 全身疾患があるケース :出血が止まらない、治癒が遅いなど、手術時のリスクを高めてしまう
  6. 対処方法を考える :手術できないケースを知るだけでなく、対処方法の有無も知っておくといい

これら6つのことから、どんな場合にインプラントの手術ができないかが分かります。
手術できないケースであっても、その症状には患者さんごとに個人差があります。
このため、歯科医に相談することで、実際には手術の許可が下りたという例も存在します。
また、リスクを冒してインプラントの手術を行うのはおススメできません。
特に、何らかの持病が原因で手術できない場合は、まずはその治療を優先するべきです。