健康保険で受けられない治療はどんなもの?

健康保険では最低限度の治療しか受けられません。

健康保険が適応できるものは、最低限度の治療しか受けることができません。
例えば、虫歯があるならその部分を削って歯科補綴物で修復する、歯周病があるならば、歯周病治療を行う、などシンプルなものになります。
また、歯を抜いたりするのも保険治療が適応されます。
では、健康保険のきかない自費診療とはどのようなものがあるのでしょうか。

実は多くの診療が自費診療です。

もしも、虫歯や歯周病がない、もしくは軽度の進行で治療を行えるのでしたら、健康保険適応内の治療で十分治ります。
しかし、あまりにも進行が進んでいる場合、治療時間もかかりますし、特殊な薬や材料を使用しなければ治すことのできないこともあります。
先ほども書きましたが、最低限度の治療内容から逸脱してしまうなら自費診療になってしまいます。
次に、主にどのような診療が自費診療になるかをお話しします。

1) インプラント治療

インプラント治療とは、失ってしまった歯の顎の骨にチタンでできた人工の歯根を埋め込み、その上に人工の歯を装着してもともとあったような噛み合わせを再現できる治療方法です。
インプラント治療には外科的手術が伴い、また治療期間も長くなります。
加えて使用する器材も高額になるため、健康保険が適応されません。
一部の国では健康保険に組み込まれているところもありますが、日本ではまだ適応されていません。

2) 審美治療

前歯が虫歯になった、もしくは色が悪い、形が嫌だなど、審美的により良いものを望まれる方は、健康保険が適応できません。
もし、健康保険範囲内で前歯を治療するならば、金属の上に歯の色をしたプラスチックを張り付けて歯のように見せます。
しかし、この材料は変色したり劣化したりするので長い期間安定して口腔内に入れることができません。
また、色も数種類しかないので周りの歯との調和が取れないことがあります。
しかし、自費診療の場合、劣化せずに尚且つ体に優しい材料を使用することができ、より天然の歯にも色や形を似せることが可能になります。

近年、メタルフリーという治療が有名になってきています。
従来、歯科補綴物は金属を使用しなければ製作することがほぼ不可能でした。
しかし、新しい材料の開発により、金属よりもより体に優しいものが出てきました。
この新しい材料は金属を使用しないので金属アレルギーなどを引き起こす可能性がなく、誰にでも安心して口の中に入れることができます。
しかし、この材料を使用することは健康保険外になるので、自費診療になります。

3) 歯科矯正治療

歯並びが悪く、それが原因で見た目が悪かったり虫歯になりやすかったり顎の関節に異常をきたしている場合、歯科矯正治療を行います。
歯科矯正治療は、歯を抜いたり長い月日をかけてワイヤーで少しずつ歯を理想の位置に動かしていく治療方法です。

これも、特殊な器材や材料、そして技術を必要としますので健康保険は適応されません。
患者さんの状態や年齢、動かす本数にもよりますが、数か月から数年の治療期間を必要とします。
また、歯列を広げるなどの特殊な装置を口の中に入れなければならず、どうしても高額になってしまいます。

4) 入れ歯

入れ歯は、大半は健康保険で作ることができます。
しかし、使用できる材料が自費診療と比べるとどうしても粗悪になってしまうので、長持ちがしなかったりすぐ壊れてしまうことがあります。
健康保険で作れる入れ歯は総入れ歯の場合はほとんどプラスチック製なので、違和感が増したり噛みづらかったりします。
また、部分入れ歯も強度的に不安があったり、どうしても目立つところに入れ歯を安定させるための金属のバネが見えてしまうので、満足のいく治療を受けることができない場合もあります。

自費診療の場合、総入れ歯は一部に金属を使用して軽量化を図ったり熱伝導率をよくして温かさ、冷たさを感じやすくできたりします。
部分入れ歯は、できるだけ目立たないように金属のバネを取り付けたり、まったく金属のバネを使用しない部分入れ歯も存在します。

また、入れ歯になっている多くの人は顎の位置がズレていたり、顎の関節に異常があります。
それを正常な状態に戻してから入れ歯を作ることも健康保険範囲内ではできません。

治療費に惑わされないでください。

健康保険が適応されると、全国どこの歯科医院に行っても一律料金で治療を受けることができます。
しかし、自費診療は各歯科医院が自由に治療費を設定することができ、料金にも大きな差が出てしまいます。
だからといって料金にとらわれて歯科医院を選ぶともしかしたら危険かも…ということがあります。
安い治療費の歯科医院はなにか裏があるのかも…と思っても間違いではないかもしれません。
多少治療費が高くても、満足した結果が得られなければいけないと思います。
ぜひ、信頼のおける歯科医院で、満足のできる歯科診療を受けていただきたいと思います。