根管治療の成功率はどのくらい?失敗したらどうなるの?

根管治療(歯の根の部分の治療)は非常に難しい治療といわれています。
難しい治療となると、どのくらい成功するのか、失敗したらどうなるのか気になりますね。

今回は、根管治療の成功率と、失敗したらどうなるかについて解説していきます。

失敗などと聞くと不安になってしまいますが、予め根管治療について知っておくことで、必要以上に怖がらず、安心して治療をうけられます。

ぜひ、ご参考にされてください。

根管治療とはどんな治療?

根管とは、歯の根にあたる部分で神経が入っている管のことです。

むし歯の原因となる菌が「歯髄(しずい)」と呼ばれる歯の中の神経まで入り込むと、炎症や感染をおこしてしまい、ズキズキとした痛みを感じたり、歯ぐきが腫れたりします。
この症状を改善するために根管治療をおこなう必要があります。

根管治療とは、一般的に「歯の神経をぬく」などといわれており、根管に入った細菌を取り除き、洗浄・消毒をして、薬剤をつめる治療です。

根管治療の流れ

根管治療はこのような流れでおこなわれます。

  1. 診断
  2. 顕微鏡やレントゲンなどを使用し、根の形や治療すべき箇所をみていきます。
    患者さんの症状によって治療方法も違ってきますので、慎重に診断していきます。

  3. むし歯を取り除く
  4. むし歯になっている部分を取り除きます。

  5. 感染した神経を取り除く
  6. 根管治療用の器具を使用し、細菌感染した歯髄を取り除いていきます。
    歯を痛めないよう、十分注意しながらおこないます。

  7. 薬剤による洗浄・消毒
  8. 薬剤で管の中をきれいに洗い、消毒薬をつめて仮のふたをし、新たな細菌が入らないようにします。

  9. 根管充填
  10. 腫れや痛みが落ち着き、十分に殺菌が確認できたら、専用の薬剤で根管に詰め物をします。

  11. 被せ物
  12. しっかりと詰め物で塞がれたら、その上に被せ物の土台をつくり、被せ物を装着していきます。

根管治療の成功率はどのくらい?

東京医科歯科大学のデータ(わが国における歯内療法の現状と課題)によると、根管治療の成功率は30〜50%といわれています。

根管治療は非常に難しく、神経をぬき、消毒できれいにし、詰め物をする治療をおこなっても、細菌が残り膿をつくってしまい失敗となることが多々あります。

また、保険診療か自費診療かによって、使用できる器具や薬剤などの違いや、ルールによる制約などがあるため、成功率は変わってきます。
保険診療はできることに制限があるため、成功率は自費診療にくらべ低くなります。

根管治療が難しいといわれる理由

では、なぜ根管治療は難しいのでしょうか。

無菌治療

口や唾液の中には様々な種類の菌や汚れが含まれています。
根管治療の際は根管に菌がはいるのを防ぎながら(無菌状態)治療をおこなう必要があります。

菌や病巣が見えない

歯の根が通っている管は一本だけではなく、細かい神経の管が複雑に枝分かれしており、一本の歯に対する根管の形や数は一人ひとり違います。
ミクロン単位のため、肉眼では確認できず、特別な顕微鏡や画像診断が必要になります。

根管は非常に複雑な形をしている

根管は非常に複雑な形をしているため、汚れや菌を取り残したり、根管を傷つけてしまう場合があります。

根管治療、もしかして失敗?

では、いったいどんな時に失敗となるのでしょうか。
その後の治療法についても解説していきます。

治療後の症状を見逃さない

根管治療後に次のような症状があらわれた時は要注意です。

痛みや腫れ

根管治療が失敗している根は中で細菌が増え、活発になっています。
その細菌が根の先にたまり、周りの組織が炎症をおこし、痛みや腫れがでてきます。
場合によっては根にヒビが入っていたり割れていることもあります。

根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)

根の先に細菌が入り込み、その後、先の部分で病巣をつくっている状態です。
痛みや腫れがひどくなる急性と、自覚症状がほとんどない慢性に分かれ、あごの骨や、歯ぐきなど、歯の周りの組織に広がることもあります。

歯根嚢胞(しこんのうほう)

根管内が汚れて細菌でいっぱいになると、根の先端に膿の入った袋ができてきます。
細菌がこれ以上広がらないようにおこる体の防衛反応として、この症状があらわれます。

治療後に症状がでたときの対処法は??

根管治療後に痛みなどの症状が再発した場合、どのような対処法があるのでしょう。

治療の精度を高める精密根管治療

自費診療になり、治療精度が高く、再発のリスクも低くなります。

保険診療では使われないような、細菌を取り除く精度の高い精密機器や、治療後の再感染を防ぐ材料を使用します。

歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)

根管治療後、一定の期間経過をみていても症状が改善されなかったときは、外科的な処置が必要になる場合があります。

歯根端切除術は、根の先の一部と膿の袋を一緒に取り除く外科的な処置です。
症状や場所により、できる場合とできない場合があります。

抜歯

精密根管治療や歯根端切除術をおこなっても症状がよくならない場合は、抜歯をおこないます。

まとめ

今回は根管治療の成功率と失敗について解説してきました。
根管治療は非常に難しい治療だと分かりましたね。
また、保険診療か自費診療かによって、できる治療が違ってきます。

自分の歯はできるだけ長く保ちたいものです。
その時の治療費だけで決めるのではなく、治療後のことも念頭におき、長い期間を見越しての治療法をドクターとよく相談してみてはいかがでしょうか。