虫歯と歯周病になりました。歯周病治療を優先すると言われましたが、これは正しい判断なのですか?
西早稲田の歯医者さん、西早稲田駅前歯科・小児歯科・矯正歯科です。今回のテーマは「虫歯と歯周病の治療の優先順位」です。虫歯と歯周病の両方にかかった場合、当然どちらも治療しなければなりません。
しかし虫歯と歯周病では治療方法が全く異なるため、同時に治療することは不可能です。ですからこの場合は一方の治療を優先することになりますが、虫歯と歯周病の治療の場合、優先されるのは基本的に歯周病の治療です。
なぜ歯周病の治療が優先なのか
患者さんからすれば、虫歯と歯周病では前者…つまり虫歯の方が深刻と思うかもしれません。何しろ虫歯には痛みという辛い自覚症状があるため、早く治療してほしいと思う方が多いでしょう。しかし基本的には歯周病の治療が優先となり、それには理由があります。
そもそも虫歯は歯の病気であり、歯周病は歯の骨の病気です。歯は歯の骨によって支えられていますから、歯にとって歯の骨は言わば土台です。さて、ここで建築物の修理を例えとして考えてみましょう。
建物が壊れた時には修理が必要ですが、それには土台が安定していることが前提です。ぬかるんだ状態の土台では建物がグラついて修理しづらいですし、例え修理できたとしても土台が崩れることで建物が再び壊れてしまいますからね。
歯周病の治療を優先する理由はこの例えと同じです。虫歯治療を優先すると土台が不安定な状態での治療となるため、まずは土台を安定させるために歯周病の治療を行い、その上で虫歯を治療するのです。
虫歯の治療を優先するケース
歯周病の治療を優先するのはあくまで基本的なことであり、絶対的なことではありません。と言うのも、歯科治療の最大の目的は患者さんのお口の悩みを解消することにあるからです。ですから、例えば激痛を感じるような虫歯であれば、それを後にして歯周病の治療をすることはありません。
患者さんが虫歯の痛みの辛さを訴えれば、それを考慮してまず虫歯の治療を行うケースは当然あります。また、どちらの治療にしても治療開始した以上は一貫してその治療を最後まで行う必要はなく、例えば虫歯の治療を一時的に行い、一旦痛みを解消させた時点で歯周病の治療を行うことも可能です。
そして歯周病の治療が完了してから、改めて虫歯の治療の続きを行えば良いわけですからね。このため、歯周病の治療を優先するという知識はそこまで深く考えず、虫歯の痛みが辛い時にはそのことを正直に歯科医に伝えれば良いのです。
虫歯や歯周病の治療ができないケース
「虫歯や歯周病の治療ができない」と聞くと誤解されるかもしれませんが、これらの治療において患者さんの要望によっては対応できないケースもあります。
セラミック治療を希望するケース
虫歯の治療では歯を削った後に詰め物や被せ物で処置しますが、その材質としてセラミックを希望すると対応できない歯科医院もあります。なおセラミックにも種類があり、取り扱っているセラミックの種類も歯科医院によって異なります。セラミックは、セラミック治療に対応した歯科医院でしか対応できないでしょう。
骨の再生療法を希望するケース
歯周病は進行すると歯を支える骨…いわゆる歯槽骨を溶かしてしまいます。そして、本来溶かされた歯槽骨は再生せず、歯周病の治療をしても元にもどることはありません。しかしGTR法やエムドゲイン法など、歯槽骨の再生を促す治療方法も存在します。ただし、これらの治療方法に対応した歯科医院は少なくなっています。
インプラントを希望するケース
虫歯や歯周病が重度段階まで進行した場合、治療において抜歯が必要になることもあります。抜歯すれば当然歯を失うため、その後は失った歯の対処として患者さんに選択肢が用意されます。それは入れ歯、ブリッジ、インプラントの三択ですが、インプラント治療は対応できる歯科医院が限られており、その歯科医院では治療を受けられない可能性もあります。
…他にも外科的治療が必要な場合、また歯を失って入れ歯にする時でも、オーダーメイドの入れ歯を希望の場合などは対応できないこともあります。こうした場合の対処は歯科医に判断もあると思うので、担当の歯科医に相談してください。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、虫歯と歯周病の治療の優先順位についてまとめます。
1. なぜ歯周病の治療が優先なのは :歯周病の治療で土台を安定させてから虫歯の治療をするのが基本
2. 虫歯の治療を優先するケース :虫歯の痛みが辛い時は、歯科医に伝えれば虫歯の治療の優先も可能
3. 虫歯や歯周病の治療ができないケース :患者さんの要望によっては対応できない治療方法もある
これら3つのことから、虫歯と歯周病の治療の優先順位について分かります。基本的には歯周病の治療を優先しますが、それは歯周病の治療が虫歯の治療において土台を安定させる効果があるからです。しかしそれは文字どおりあくまで基本ですから、虫歯の痛みが辛い時などは臨機応変に対応し、虫歯の治療を優先するケースもあります。