どうして虫歯になると歯が痛くなるの?

西早稲田の歯医者さん、西早稲田駅前歯科・小児歯科・矯正歯科です。
今回のテーマは「虫歯になると歯が痛む理由」です。
虫歯の最も嫌なところは歯が痛むことで、虫歯の痛みは大人でも耐え切れない辛さがあります。

また、痛みを放置すればやがて激痛を感じるようになりますし、
その一方で初期段階の虫歯は全く痛むことがありません。
つまり、虫歯の痛みは進行とともに「痛まない」→「痛む」→「激痛」と変化していくわけです。

みなさんはこの変化を当然の知識として捉えていますが、
ここではなぜそういった変化が起こるのか?…その理由を説明します。

虫歯とエナメル質と象牙質

虫歯の歯の痛みの理由を知るためのポイントは「虫歯」、「エナメル質」、「象牙質」の3つです。
ここで歯の構造を説明すると、歯の表面はエナメル質に覆われています。
このエナメル質はその奥にある象牙質を刺激から守っており、言わば歯を保護する役割を持っています。

本来象牙質は刺激に対して非常に敏感です。例えば普段の食事で口にする熱いものや冷たいもの、
こうしたものすら刺激になり、痛みやしみとして感じてしまいます。
しかし実際にそう感じずに快適に食事できるのは、エナメル質が象牙質を保護しているからです。

逆に言えば、エナメル質の保護がなければ食事の際に熱さや冷たさによって痛みやしみを感じますし、
それ以前に歯に少々触れた程度でもそれが刺激となって痛みを感じてしまうのです。
虫歯による歯の痛みは、このエナメル質と象牙質の特徴が深く関係してきます。

初期の虫歯が痛まない理由

では、初期の虫歯が痛まない理由を説明します。
虫歯はどの歯にも起こり得る病気ですが、最初は必ず歯の表面に発症します。
ただし歯の表面はエナメル質に覆われているため、この時点では虫歯の痛みは感じません。

みなさんの中には、痛くもないのに虫歯と診断されて治療を受けた経験のある人も多いと思いますが、
初期段階の虫歯はエナメル質だけが虫歯になった状態のため、痛みを感じることがないのです。
ではいつ何がきっかけで虫歯の痛みを感じるようになるのか?…それは虫歯が進行した時です。

虫歯が進行すると痛む理由

虫歯になると歯に穴があき、進行することで穴は深くなっていきます。
そして、穴はやがて象牙質に到達してしまいます。
上記で説明したように、象牙質は本来刺激に対して非常に敏感なため、虫歯になれば当然痛みを感じます。

初期段階の虫歯では虫歯がエナメル質までに留まっていたため痛みはないですが、
象牙質まで進行することでエナメル質の保護を得られず、虫歯の刺激をまともに受けてしまいます。
そうなった時、はじめて虫歯で痛みを感じるようになるのです。

つまり正確には、虫歯が象牙質まで進行することで痛みを感じるようになり、
その理由は象牙質まで進行した虫歯はエナメル質の保護が及んでいないからです。

 痛みが激痛に変化する理由

虫歯の痛みを放置すると、痛みはより酷くなってズキズキした激痛へと変化します。
これは、虫歯が象牙質からさらに奥の歯髄まで進行したためです。
歯髄とは歯の神経…つまり刺激を最も敏感に感じる箇所です。

虫歯が歯髄まで進行すると神経が炎症を起こし、ズキズキした激痛を引き起こしてしまいます。
この時の痛みは非常に辛い上、治療も歯を削っただけでは治せなくなります。
しかし、虫歯を放置することさえしなければここまで虫歯が進行することはありません。

確かに、痛みのない初期段階の虫歯に気付くのは難しいでしょう。
しかし、象牙質まで進行した虫歯は痛みを感じるため、そこで虫歯に気付かないことはありません。
その時点ですぐに歯科医院に行けば、歯髄まで進行する前に治療を受けられます。

虫歯が急に痛まなくなった時

虫歯が歯髄まで進行して酷く痛む場合でも、日数が経過することで突然痛まなくなります。
これは虫歯が原因で神経が完全に死んでしまったのが理由です。
虫歯の痛みから解放されるため、中にはこの状態をプラスと捉える人がいますがそれは大きな間違いです。

なぜなら治療しない限り虫歯の原因菌は生き続け、見えないところでより酷い症状をもたらすからです。
実際に放置すれば歯はボロボロになり、抜歯するしかない状態にまで悪化してしまいます。
さらに放置すれば虫歯の原因菌が血管から全身にまわり、脳梗塞などの大きな病気を招く要因になるのです。

まとめ

いかがでしたか?
虫歯になると歯が痛む理由についてまとめます。

1. 虫歯とエナメル質と象牙質 :虫歯の痛みはエナメル質と象牙質の特徴が深く関係している
2. 初期の虫歯が痛まない理由 :歯の表面のエナメル質は虫歯になっても痛みを感じない
3. 虫歯が進行すると痛む理由 :象牙質は刺激に敏感なので、そこまで進行すると痛みを感じる
4. 痛みが激痛に変化する理由 :象牙質の奥にある歯髄まで虫歯が進行すると、痛みは激痛に変化する
5. 虫歯が急に痛まなくなった時 :神経が死んでしまったのが理由。虫歯が治ったわけではない

これら5つのことから、虫歯になると歯が痛む理由が分かります。
まとめると、歯の表面のエナメル質の奥にある象牙質まで虫歯が進行することで痛みを感じます。
それは、象牙質が刺激に対して非常に敏感だからです。
本来エナメル質の保護によって象牙質は刺激から保護されているものの、
象牙質まで虫歯が進行するとエナメル質の保護が行き届かずに痛みを感じてしまうのです。