入れ歯を使用する上で注意点はありますか?

入れ歯は、単に装着後は何も考えずに生活していいわけではありません。
使用する上での注意点があり、それを怠ってしまうと口腔内の健康状態や入れ歯の寿命に関わります。
ここでは、入れ歯を使用して日常生活を送ることを前提に、その際の注意点を挙げていきます。
入れ歯を使用中の人はもちろん、入れ歯にしようかどうかを悩んでいる人もぜひ参考にしてください。

1. 紛失や破損

入れ歯を紛失したり破損した場合、新たに製作してもらう必要があります。
この時、問題なのが製作して間もない入れ歯が紛失や破損するケースです。
と言うのも、入れ歯を製作してから半年以内に新たに製作する場合は保険が適用されないからです。

これは国で定められたルールでもあるため、例外はありません。
理由によっては保険が適用できる可能性はあるものの、その際はそれなりの証明書が必要になったり、
市町村によって対応が異なることもあります。どちらにしても、すんなりと保険は適用できないのです。

2. 劣化

劣化を完全に防ぐことは不可能です。注意点として劣化を挙げたのは、劣化に注意するという意味ではなく、
劣化した際には新たな入れ歯に交換してくださいという意味です。
入れ歯の寿命は、一般的に4年から5年ほどと言われています。

これくらいの使用年数になると義歯の部分の擦り減りが目立ちますし、装着時にも緩く感じます。
この場合、そのままの状態で入れ歯を使い続けていると、歯茎に悪影響を及ぼしてしまうのです。
このため、すり減りや緩さを感じたら無理に使用せずに歯科医に相談してください。

3. 定期検診

入れ歯の使用後は、定期検診を欠かしてはいけません。
入れ歯を使用する中では度々噛み合わせを調整する必要がありますし、
他の歯の健康状態にも注意しなければなりません。

そして、そういったことを確認できるのが歯科医院で行う定期検診なのです。
つまり、定期検診をおろそかにすると、知らない間に噛み合わせのバランスが悪くなっていることがあり、
そうなると義歯が激しくすり減って入れ歯も長持ちしなくなってしまいます。

4. 食事

仕方のないことですが、入れ歯は天然の歯に比べると食事の際に不自由な点があります。
あまり硬いものを噛んではいけないですし、食材も食べやすい大きさにしなければいけません。
また、小さすぎてしまうと隙間に入り込んでしまうため、その点にも注意が必要です。

さらに、入れ歯を装着すると上顎が熱を感じにくくなるため、熱さに対する反応が若干鈍ります。
このため、熱いものを食べる時には従来以上に火傷に注意しなければならないのです。
ただし、あまり注意しすぎて食材を限定すると、それが原因で栄養不足を招いてしまいます。

5. 日常生活

日常生活の中には、入れ歯にダメージを与えてしまうことがいくつかあります。
入れ歯の特徴を知り、そういった場面を作らないことも大切です。
例えば、入れ歯は熱に弱い特徴を持っています。このため、例え消毒目的でも熱湯に浸してはいけません。

また、熱に弱いという点を考えるとサウナなどの利用も控えた方がいいでしょう。
それ以外では、使用していない時の保管方法も入れ歯の寿命に影響します。
入れ歯は乾燥にも弱いため、使用しない時には水につけておくようにしてください。

6. 洗浄

入れ歯の洗浄は毎日行います。人工物とは言え、天然の歯同様に毎日綺麗にする必要があるのです。
入れ歯にも細菌は付着しますし、洗浄を欠かすと細菌はどんどん繁殖してしまいます。
また、肝心の洗浄剤にも注意する必要があります。

色々な種類の洗浄剤が販売されていますが、入れ歯のタイプによっては使用できない洗浄剤もあるのです。
例えば、入れ歯であることが目立ちにくいスマイルデンチャーのようなタイプだと、
アルカリ性の洗浄剤は使用できないのです。正しい洗浄剤を選ぶことも一つの注意点なのです。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、入れ歯を使用する上での注意についてまとめます。

  1. 紛失や破損 :入れ歯を製作してもらった後の半年間は、再び入れ歯を製作する際に保険が適用されない
  2. 劣化 :劣化は仕方がなく、入れ歯の寿命は4年から5年。劣化を感じたら新品への交換が必要
  3. 定期検診 :噛み合わせの調整や他の歯の健康管理など、定期検診を欠かすとこれらが行えない
  4. 食事 :天然の歯よりは不自由。食べるものの硬さ、大きさ、熱さには気を配る必要がある
  5. 日常生活 :熱や乾燥によって入れ歯はダメージを受けるため、サウナなどは利用しない方がいい
  6. 洗浄 :洗浄は必ず毎日行う。入れ歯のタイプによっては使用できない洗浄剤もある

これら6つのことから、入れ歯を使用する上での注意点が分かります。
こうした点への注意は必要なものの、あまりこだわりすぎても満足な生活ができなくなります。
このため、「清潔にする」、「大切に扱う」、「他の歯も大切にする」の3つをまず意識してください。
これら3つを意識すれば、おのずと入れ歯の注意点を守ることになるからです。