入れ歯は一度作ってもらえばずっと使い続けることができるのでしょうか?
入れ歯はインプラントに比べると費用も治療も手軽なのが利点ですが、
持続性においてはインプラントに劣ります。つまり、ずっと使い続けることは不可能ということです。
最も、それはインプラントも同様ですが、入れ歯の寿命はインプラントよりも短いのです。
そこで、ここでは同じ入れ歯をずっと使い続けることができない理由を説明していきます。
1. 破損
使用している中で破損してしまうと、新しい入れ歯を製作してもらわなければなりません。
ちなみに、破損の状況として多いのが洗浄中です。
例えば、うっかり洗面台に落としてしまうと入れ歯が割れてしまうことがあります。
また、消毒する意味で熱湯につけてしまう人がいるのですが、これもやってはいけない行為です。
入れ歯は熱湯に浸すことで変形してしまうからです。さらに、留め金を触るのも破損に繋がります。
入れ歯の留め金は金属ではあるものの、手の力だけで簡単に曲がってしまうからです。
もし噛み合わせや緩い感覚があって留め金を直すなら、その時は歯科医院に行かなければなりません。
自身で調整することはできないですし、前述したように留め金を破損させるきっかけになってしまいます。
2. 紛失
起こらないようで意外と起こってしまうのが紛失です。紛失する人のパターンで多いのが、
入院や老人ホームなどの高齢者が多い環境で生活している人です。
もし紛失したら新たに製作してもらうことになりますが、この場合大きな問題が起こり得ます。
それは、製作してもらったばかりの新しい入れ歯を紛失してしまった場合です。
入れ歯は費用が安いことが利点になっていますが、それは入れ歯の製作に保険が適用されているからです。
しかし、入れ歯の保険の適用には一つ大きなルールがあるのです。それは、一度新品の入れ歯を製作すると、
半年以内に新たに入れ歯を製作した場合には保険が適用されないというものです。
つまり、製作してから半年以内に紛失した場合、新たな入れ歯の費用は実費になってしまうのです。
3. 劣化
どんなに大切に使用していても、入れ歯は物である以上必ず劣化します。
そして、入れ歯の劣化として最も多いのが「すり減り」と「緩くなる」です。
例え噛み合わせがよくても、噛むことで義歯の部分が少しずつすり減っていくのです。
また、入れ歯は使用年数とともに緩くなってくる傾向があり、これも防ぎようがありません。
こうした劣化が目立つようになったらそれは寿命で、新しい入れ歯に交換する必要があるのです。
もし劣化した入れ歯を使用し続けてしまうと、歯茎に悪影響を及ぼしてしまうので要注意です。
歯茎に問題が起こってしまえば、新品に関わらず入れ歯の装着自体が不安定になってしまいます。
ちなみに、入れ歯の寿命は一般的に4年から5年なので、その頃になると劣化が目立つようになります。
4. 他の歯の状態
入れ歯の寿命を左右する要素の一つが、他の歯の健康状態です。
部分入れ歯の場合、入れ歯を固定するために他の健康な歯に留め金を引っ掛けます。
そして、その引っ掛けた歯が虫歯や歯周病になってしまうと、留め金の調整が狂ってしまうことがあるのです。
これは抜歯した場合はもちろんですし、虫歯治療で削っただけでも影響してきます。
つまり、口腔内のケアをおろそかにしてしまうと、それもまた入れ歯の寿命を縮めてしまうのです。
特に、自覚症状がなくて分かりにくい歯周病には注意する必要があります。
5. 定期検診
噛み合わせや他の歯の健康状態など、
ここで挙げてきたことのほとんどが歯科医院の定期検診で分かることです。
逆に言えば、定期検診を受けていなければこうした問題に気付けないのです。
最も、入れ歯を使わずに全ての歯が健康な状態の人でも歯科医院の定期検診は必要です。
しかし、入れ歯を使っている人はそれ以上に定期検診が重要になるのです。
このため、定期検診を欠かしてしまうとそれだけで入れ歯の寿命に影響してくるのです。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、入れ歯は一度作ればずっと使い続けられるのかについてまとめます。
- 破損 :落とすだけで割れることもあるし、熱湯に浸すと変形してしまう。留め金をいじるのも厳禁
- 紛失 :環境によっては紛失も起こり得る。短期間で紛失すると再び製作する時に保険が適用されない
- 劣化 :いわゆる寿命。長く使用しているとどうしてもすり減るし、入れ歯も緩くなってくる
- 他の歯の状態 :留め金を引っ掛けている歯が虫歯や歯周病になると、再び調整が必要になる
- 定期検診 :入れ歯を長く使い続けるためには、歯科医院の定期検診は欠かせない
これら5つのことから、入れ歯は一度作ればずっと使い続けられるのかが分かります。
ずっと使い続けることは不可能なものの、入れ歯の扱い方次第で寿命は長くなります。
正しい方法で洗浄し、歯科医院の定期検診にも通っていれば、問題が起こった際にもすぐ対処できるのです。
ただし、それでも劣化は避けられないため、4年から5年ごとに新しい入れ歯に交換する必要があります。