インプラントができない人はいますか?

患者さんの中には、インプラントを希望していても、
検査などによって治療できないと判断されるケースがあります。
その理由は様々で、持病、状態、さらには年齢が理由になることもあります。
では、実際にインプラントできないケースをここで説明していきます。

1. 重度の歯周病

インプラントは治療の段階で、顎の骨に人工の歯の根(インプラント)を埋め込むための手術が必要です。
歯周病が進行してしまうと骨が溶けていってしまうため、インプラントが埋め込めなくなるのです。
つまり、インプラントを埋め込むだけの骨が不足しているため、治療できないわけです。

骨移植などによって対処できることがあるものの、この場合は全く別の治療を行うことになるため、
インプラントとは別に治療費が発生しますし、治療期間も長引きます。
歯周病は自覚症状がないため、インプラント治療前の検査で初めて発覚するケースも多いです。

2. 糖尿病

糖尿病を持っている人は、身体の抵抗力や免疫力が低下しており、これらの特徴が理由になります。
抵抗力や免疫力が低いと傷の回復が遅いため、手術の傷がなかなか癒えないのですし、
細菌に感染するリスクも高いため、手術時の出血が問題になってきます。

また、同様の理由で歯周病も引き起こしやすく、これはインプラントが抜け落ちる要因にもなります。
とは言え、糖尿病の進行度にもよるため、糖尿病だからといってインプラントできないとは限りません。
重要なのは血糖値のコントロールで、これができるのであればインプラントすることは可能です。

3. 高齢、もしくは若すぎる

インプラントに年齢制限はないものの、あまりに若かったり、高齢の患者さんは治療できないことがあります。
まず、若い患者さんは顎の骨が成長途中であり、インプラントもそれを計算して治療しなければなりません。
しかし、骨の成長を予測することは困難で、治療後にインプラントに不具合が生じる可能性があるのです。
このため、多くの歯科医院では18歳、もしくは20歳以下の患者さんへのインプラントは行っていません。

逆に、高齢の患者さんもインプラントできないことがあり、これは年齢による体力の低下が理由です。
インプラントは手術を必要とする治療ですし、治療期間も一年近く、
さらには治療後もメンテナンスのための通院が必要です。
これらに耐えうるだけの体力ない患者さんは、インプラントすることができないのです。

4. 噛み合わせが悪い

噛み合わせの悪さは、インプラントの寿命やトラブルに繋がります。
噛み合わせが悪いことで、インプラントに必要以上に強い力が掛かってしまうため、
これが負担になってインプラントの寿命を縮めます。

また、負担が掛かり続けることでインプラントはダメージを受け、
期間が経つとグラついてきたり、場合によっては抜け落ちてしまう可能性もあるのです。
このため、噛み合わせが悪い患者さんは、インプラントできないと言うよりは、
先に噛み合わせを改善する治療をすすめることがあります。

5. 全身疾患がある

全身疾患は口内の治療であるインプラントとは無関係に思えますが、そんなことはありません。
例えば、心臓疾患の場合は出血が止まりにくいことがあるので、手術の際に危険が伴います。
これは服用している薬の影響で、ワーファリンなどを使用しているとこうした状態になります。

このため、インプラント治療できないことがありますし、そもそも外科手術自体をおススメできません。
また、血液疾患を持っている患者さんも、やはり出血が止まりにくい特徴があるのです。
最終判断をするのは担当歯科医ですが、安全性を考えてインプラント治療できないことがあるのです。

6. 喫煙している

喫煙が身体に悪いことは誰もが知っていることですが、インプラント治療においても関係してきます。
と言うのも、喫煙していることによって3つの問題が生じます。
1つ目の問題は、喫煙は免疫力を低下させるため、細菌の感染のリスクが高くなります。

2つ目の問題は、喫煙で血流が悪くなり、歯周組織が弱ってインプラントが骨と結合しにくいことです。
3つ目の問題は、血流が悪いことによって、インプラントの天敵である歯周病になりやすいことです。
これらの問題が影響し、インプラント治療失敗のリスクが生まれてしまうのです。
このため、喫煙している患者さんはインプラント治療を受けられないことがあるのです。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、インプラントができない人についてまとめます。

  1. 重度の歯周病 :骨が溶けてしまって、インプラントを埋め込めないことがある
  2. 糖尿病 :血糖値がコントロールできるかどうかが、インプラント可否の判断ポイントになる
  3. 高齢、もしくは若すぎる :高齢だと体力的な問題、若すぎると顎の骨が成長途中という問題がある
  4. 噛み合わせが悪い :インプラントの寿命を縮めたり、抜け落ちてしまうきっかけになる
  5. 全身疾患がある :出血が止まりにくいので、手術のリスクが高い
  6. 喫煙している :インプラントと骨が結合しにくいなど、治療が失敗するリスクがある

これら6つのことから、インプラントができない人について分かります。
歯科医がインプラント治療を行う目的は、“インプラントを取り付けること”ではなく、
“インプラントを取り付けて健康で快適な日常生活を送ってもらうこと”です。
このため、リスクが生まれるこれらの条件に該当する患者さんは、インプラントできないことがあるのです。