痛まない虫歯は治療しないでもいい?

虫歯を治療するのはなぜか、そう聞かれた時、あなたはどう答えますか?
多くの人がこの問いに対して、歯が痛いから治療すると答えるのではないでしょうか。
では例え虫歯になっても、その虫歯が痛まなければ治療しなくていいのでしょうか。
ここでは虫歯の痛みについての仕組み、さらには治療の必要性について説明していきます。

1. 痛まない虫歯なんてあり得るのか

これはあり得ます。可能性としては二つで、一つは全くの初期段階で、歯が変色しただけの状態の虫歯です。
この場合は確かに治療の必要はなく、丁寧な歯磨きを行うことで、元の健康な歯に戻すことができます。
もう一つは、虫歯菌によって神経が侵され、完全に神経が死んでしまった状態です。

この場合、痛みはないものの、症状としては重傷で、治療不可の末期に近い状態です。
最も、こうなるまでには痛みを自覚する機会が多々あったはずなので、“痛まない虫歯”ではなく、“痛む虫歯を放置した結果、やがて痛まなくなった”というのが正論です。

2. 治療しなくていいパターン

完全に初期段階で、専門用語で言えばC0の段階、この状態であれば治療不要です。
最も、この時点では痛まないどころか自覚症状が一切なく、歯の透明感がなくなるだけの状態なので、治療しなくていいどころか、虫歯に気づくことすら困難です。

この状態の場合、上記で説明したように、丁寧な歯磨きをすることで虫歯を治すことができるのです。
治療しなくていいパターンはこのパターンのみで、これ以外の状態では治療が必要となります。
このC0段階から虫歯が進行するとC1段階になり、ここでも痛みはないものの、一度進行した虫歯は、治療しない限り絶対に治らないのです。

3. 痛まなければいいと考えるのは危険

痛まなければ治療しなくていい、虫歯に対してその考えを持つのは大変危険です。
なぜなら、虫歯菌は治療しない限りなくならないですし、症状はどんどん深刻になるのです。
例えば、神経が死ねば痛みはなくなりますし、歯を失うほどの末期でも痛みはありません。

ただし、痛みはなくても虫歯菌は生きており、歯を完全に溶かした後、さらに血管の中にまで菌が侵入します。
そうなることで、予想もしなかった病気に発展することもあります。
つまり、痛まないからといって放置すると、いずれとんでもない事態を招く危険性があるのです。

4. 放置した結果起こり得ること

まず確実なのが、そこまで歯が不潔な状態になっていれば、同時に歯周病になっている可能性も高いです。
歯周病は、虫歯と並ぶ口内の病気の代表格であり、最終的に歯を失う要因にもなり得ます。
また、こうした口内だけでなく、虫歯菌によって身体そのものに危害が及ぶこともあります。

虫歯菌が血管に侵入することで全身に菌がまわってしまい、それが思わぬ病気を招いてしまうのです。
虫歯菌が心臓に侵入すれば心筋梗塞、脳に侵入すれば脳梗塞を引き起こすこともあります。
これらは命に関わる大きな病気ですし、海外での実話を挙げれば、虫歯が原因での死亡例もあるのです。

5. 治療が遅れるほどつらい治療になる

一度進行した虫歯は、治療しない限り、虫歯菌を除去することはできません。
さらに、治療するタイミングが遅れるほど、治療も大がかりでつらいものになっていくのです。
痛みを自覚してすぐ治療すれば、歯を削って詰めものをするだけで治療は終わります。

しかし、その期間を放置することで、抜歯が必要になったり、顎の骨を切除する手術が必要になってきます。
虫歯を治療しない理由は、治療そのものの痛さや怖さが根本的な理由になっているのでしょうが、その治療を行わないことで、より大がかりでつらい治療が必要になってくるのです。

6. 進行した虫歯は治療が必須

ここで説明してきたように、進行した虫歯に対しては治療が必須です。
そもそも、痛むか痛まないかを治療の動機にすること自体が間違いなのです。
虫歯に気づいたからには治療が必須であり、その治療が早いほど、容易に治すことができるのです。

仮に歯を失ってもいいから治療をしたくない、そんな考えを持っていたとしても、虫歯菌に終わりはありません。
歯を溶かしてしまった後は体内に侵入してしまうため、治療しない限りは、常に健康に脅かされる生活が強いられてしまうのです。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、痛まない虫歯は治療しなくていいかについてまとめます。

  1. 痛まない虫歯なんてあり得るのか :完全な初期段階か、神経が死ぬか、痛まない虫歯はこれらのどちらか
  2. 治療しなくていいパターン :完全な初期段階であれば治療は不要。そもそもこの段階では気づかない
  3. 痛まなければいいという考えは危険 :痛まなくても虫歯菌は生き続け、予想外の事態を招きかねない
  4. 放置した結果起こり得ること :心筋梗塞や脳梗塞も起こり得る。海外では死亡例もある
  5. 治療が遅れるほどつらい治療になる :削るだけでは済まなくなり、抜歯や手術もあり得る
  6. 進行した虫歯は治療が必須 :痛むか痛まないかは治療の判断材料にならず、虫歯なら治療が必須

これら6つのことから、痛まない虫歯は治療しなくていいかについて分かります。
痛む虫歯、痛まない虫歯など、痛みで治療をするかどうかの判断をするのは厳禁です。
進行した虫歯は治療が必須ですし、痛みがないからと放置すると、虫歯菌はどんどん進行していくのです。
後悔しないためにも、痛みの有無関係なしに、虫歯に気づいたらすぐに歯科医院で治療を受けてください。