虫歯ってそもそもどういう状態?
虫歯とはどんな状態なのか、これはシンプルではあるものの、知らなければ難しい質問です。
多くの人が、子供の頃に絵本で見たような、バイ菌が歯に穴を空ける様子を想像するでしょうし、そうなるいきさつや理由を問われても、なかなか答えることはできません。
ここでは、そんな虫歯をテーマにして、そもそも虫歯とはどういった状態なのかを説明していきます。
虫歯の仕組みを知ることで、同時に効果的な予防にも気づけますし、危機感も持てるようになります。
1. どんな病気なのか
症状だけで言うなら、酸によって歯が溶かされてしまう病気です。
虫歯を引き起こしているのは細菌で、これは一般的に「ミュータント菌」と呼ばれています。
この菌が好きなのは糖分で、口内にある糖分を使って、歯垢を作ります。
この歯垢の中に酸を作り、できあがった酸で歯を溶かしてしまうのです。
甘い物を食べると虫歯になると言われているのは、虫歯を作るきっかけとなるミュータント菌が、糖分を好んでいるからというわけです。
これを子供の絵本で例えれば、虫歯菌はミュータント菌であり、歯に穴を空けている工事道具が、酸ということになります。
2. 甘い物は食べてはいけないのか
虫歯予防としては甘い物を食べないのは効果的ですが、現実にはそうはいきません。
結論から言えば、糖分の摂取自体に問題はなく、問題なのはそれが口内に残ってしまうことです。
つまり、歯磨きをしっかりと行えば、虫歯の発生を予防できるのです。
ミュータント菌が酸を出しても、唾液がそれを中和してくれるため、即虫歯になることはありません。
つまり、ミュータント菌が放つ酸に対して、身体が抵抗してくれるわけです。
しかし、口内を清潔にせず、常に酸を発するような状態になれば、身体の抵抗にも限界が訪れ、やがて身体の抵抗が負けてしまった時に、虫歯になってしまうのです。
3. 虫歯の進行について
初期の段階であれば、再石灰化によって自然に治ることもあります。
しかし一度進行してしまうと、それ以降は自然回復が望めず、歯科医院での治療が必要になります。
虫歯は放っておくとどんどん進行し、進行の度合いに比例して歯を溶かしていきます。
進行が進めば進むほど、治療の際に削る歯の面積が大きくなりますし、後期の状態になってしまうと、神経までも侵され、歯はほとんど失われてしまいます。
こうなると削るだけの治療は難しく、抜歯しなければならないこともあります。
さらにここまでの状態になっていると、虫歯とは別に、歯周病を引き起こしている可能性も高いです。
4. 食後に歯磨きが必要な理由
虫歯予防において、なぜ食後の歯磨きが必要なのか、これに対しても理由があります。
身体のメカニズム上、食事の際は口内が酸性に傾きます。つまり、ミュータント菌が大好きな環境になります。
また、それを防止するために、身体はアルカリ性の唾液を出し、口内を中性に保とうとするのです。
食事の際に唾液が多くでるのは、この身体のメカニズムが理由になっています。
しかし、唾液の力だけでは、口内を完全に中性にすることはできず、いずれミュータント菌に負けてしまいます。
このために歯磨きが必要となり、食後に歯磨きすることで、いち早く口内を清潔で正常な状態に戻せるのです。
5. 歯磨きしていても虫歯になる理由
虫歯の状態を考えると、歯垢を落としさえすれば、虫歯にはならないことになります。
しかし、きちんと丁寧に歯磨きしても、虫歯になってしまうのは何故なのでしょうか?
それは歯磨き自体が完全ではないからです。
最も、歯磨きだけで歯垢をゼロにすることはまず不可能で、必ず磨き残しや磨けない箇所が存在するのです。
また、蓄積された歯垢が歯石になってしまえば、それはいくら歯磨きしても除去できません。
このため、デンタルフロスの使用や歯科医院での定期健診など、ブラッシング以外の予防策も行ってい
ないと、虫歯を完全に予防するのは難しいのです。
いかがでしたか?
最後に虫歯とはどんな状態かについてまとめます。
- どんな病気なのか :細菌が歯垢を作り、歯垢に含まれる酸で歯を溶かしてしまう病気
- 甘い物は食べていけないのか :糖分を摂取しても、その後歯磨きなどで口内を清潔にできれば問題ない
- 虫歯の進行について :進行が進むと穴はどんどん大きくなり、後期になると歯はほとんど失われる
- 食後に歯磨きが必要な理由 :食事の際は口内が酸性に傾き、これは虫歯菌が最も好む環境であるため
- 歯磨きしていても虫歯になる理由 :歯磨きだけでは必ず磨き残しがある上、磨くのが難しい箇所もある
これら5つのことから、虫歯とはどんな状態かが分かります。
なぜ食後に歯磨きをするのか、なぜ甘い物を食べると虫歯になるのか、言葉では分かっていつつ、その根拠が分からなかった方も、これらの説明を読めばそれが分かります。
また、注目すべき点としては、虫歯に関する説明の中で、年齢に関わる説明が一切なかったことです。
つまり、誰にでも虫歯になる可能性はありますし、小さな子供でもなり得るわけです。