歯周病は高齢の人がかかる病気だと思っていますが、違いますか?
西早稲田の歯医者さん、西早稲田駅前歯科・小児歯科・矯正歯科です。
今回のテーマは「歯周病の低年齢化の問題」です。
タイトルどおり、歯周病は高齢の人がかかる病気のイメージを持っている人が多いですね。
しかしそれは間違いで、もっと若い人…例えば学生だって歯周病になる可能性があります。
おそらく、歯が抜けるという症状から高齢の人がかかる病気のイメージがあると思うのですが、
歯周病は若い人でもなりますし、事実歯周病の低年齢化が問題になっています。
子供の歯肉炎
小学校の歯科検診や小児歯科の定期検診で、子供が歯肉炎と診断されることがあります。
現在親の立場にある人は、実際に子供がそう診断された経験がある人もいるのではないでしょうか。
まずこの歯肉炎ですが、言い換えれば初期段階の歯周病を意味します。
歯周病は初期段階、中期段階、重度段階の3段階に分けられていますが、
これら3段階には別の呼び方があります。初期段階の歯周病を歯肉炎とも呼び、
中期段階の歯周病を歯周炎、重度段階の歯周病を歯槽膿漏とも呼ぶのです。
ちなみに、呼び方が2とおりあることに深い意味はありません。
つまり、歯肉炎と診断された子供は初期段階の歯周病にかかっていることになりますし、
この事実から分かるのは「子供でも歯周病になる」ということです。
歯周病の低年齢化
子供でも歯周病になりますし、それどころか歯周病の低年齢化が問題になっています。
厚生労働省の報告により、以下のようなデータがあります。
・5歳~9歳の子供の約4割が歯肉に異常を抱えている
・10歳~15歳の子供の約5割が歯肉に異常を抱えている
…つまり、5歳~15歳までの子供の約半分が歯肉に何らかの異常を抱えており、
さらに成人に至っては約7割以上が歯周病とされています。
歯周病の低年齢化の原因
歯周病が低年齢化しているからには、必ずその原因があります。
そこで、考えられる原因を以下に挙げてみます。
・疲労やストレスによる免疫力の低下
歯周病は細菌による感染症で、細菌への感染のリスクの高さは身体の免疫力に関係します。
疲労やストレスが溜まると身体の免疫力が低下して、歯周病菌に感染しやすくなります。
特に現代ではストレスや疲労や溜まる機会が多く、そのため子供の免疫力も低下しているのです。
・糖の摂取量の過多
昔に比べて現代では簡単にお菓子が手に入りますし、販売しているコンビニもそこら中にあります。
このため子供がお菓子を食べる機会が増え、糖を過剰に摂取してしまっています。
糖の過剰な摂取は虫歯のリスクを高めると同時に、歯周病のリスクも高めます。
・家族間での感染
歯周病は人から人にうつります。正確には、歯周病菌が人から人にうつるのです。
感染経路は唾液を介す行為で家族間での歯磨きの接触や食器の共用、回し飲みなどが挙げられます。
いくら子供の歯周病予防を徹底していても、親の予防が不充分なら親から子へうつってしまいます。
・歯周病の軽視
「子供は歯周病にならない」…その間違った認識が、歯周病の低年齢化の原因の1つです。
子供は歯周病にならないと思ってしまえば、当然親の子供への歯周病に対する予防意識はなくなります。
そして、予防意識がなくなれば予防しなくなるため歯周病になりやすくなるのです。
…一概に断言できないものの、こうした原因によって歯周病が低年齢化していると考えられます。
一方でフッ素配合の歯磨き粉などの普及により、虫歯になる子供は減少傾向にあります。
歯周病も虫歯同様、予防意識を高めて少しでもリスクを減らさなければなりません。
歯周病の予防方法
歯周病を予防するには、以下で紹介する3つのことを実践してください。
これは大人も子供も同様で、以下の3つを全て実践すれば大抵の歯周病は防げます。
予防その1. 歯磨きの精度を高める
ただ適当に磨くだけではせっかくの歯磨きの効果も半減します。
デンタルフロスなどを使用して歯磨きの精度を高め、磨き残しがないようにしましょう。
子供の場合は歯磨きの技術が未熟ですから、必ず親が仕上げをしてあげましょう。
予防その2. 定期検診を受ける
歯科医院の定期検診を受ければ、歯のクリーニングなどで歯周病の予防効果が高まります。
また、子供の場合は小児歯科で検診を受けられます。
定期検診を受けていれば、仮に歯周病になっても早期発見できるため簡単な治療で治せます。
予防その3. 生活習慣を見直そう
糖の摂取が多い食生活、疲労やストレスを溜めっぱなしの日常生活など、
こうした生活習慣を見直して身体の免疫力を高めましょう。
身体の免疫力が高まることで細菌に対する抵抗力が高まり、歯周病菌にも感染しにくくなります。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、歯周病の低年齢化の問題についてまとめます。
1. 子供の歯肉炎 :歯肉炎と診断される子供がいるが、歯肉炎と初期段階の歯周病を意味する
2. 歯周病の低年齢化 :5~9歳の子供の約4割、10歳~15歳の子供の約5割が歯肉に異常を抱えている
3. 歯周病の低年齢化の原因 :疲労やストレスによる免疫力の低下、糖の摂取量の過多、家族間での感染など
4. 歯周病の予防方法 :精度の高い歯磨き、定期検診の受診、生活習慣の見直し
これら4つのことから、歯周病の低年齢化の問題について分かります。
今回のお話で最も知っておいてほしいのは、子供でも歯周病になるということです。
最も、子供は代謝が活発なので歯が抜けるほど歯周病が進行することはまずないでしょう。
しかし歯周病になるのは事実であり、虫歯同様に予防意識を高めなければなりません。