歯の神経が死んで虫歯が痛まなくなる…これは悪いことなのですか?
西早稲田の歯医者さん、西早稲田駅前歯科・小児歯科・矯正歯科です。
今回のテーマは「歯の神経が死ぬことについて」です。
虫歯が進行するとやがて神経まで到達し、そうなると激しい痛みを感じるようになります。
そしてさらに虫歯が進行すると、今度は一変して痛みを一切感じなくなります。
これは神経が死んだことが原因ですが、痛みを感じなくなる点でそれはプラスに思えるかもしれません。
しかし、歯の神経が死ぬことは決して良いことではないのです。
自覚症状が失われる問題
痛みを感じなくなるというのは、歯の健康において大きな問題になります。
考えてみてください…仮に歯に何らかの問題が起きた時、ほとんどの人は歯の痛みでそれに気付きます。
ちなみに、これは歯に限ったことではありません。
お腹が痛い、胃が痛い、頭が痛い…私達が身体の異状に気付くのは、こうした痛みがきっかけですね。
逆に言えば、痛みを感じなければこのような身体の異状に気付くきっかけが失われてしまうわけです。
このため、歯に痛みを感じなければその歯に起こっている異状にも気付けなくなるでしょう。
痛みという自覚症状は身体が私達に送っているSOSのサインです。
神経が死んでそのサインが得られなくなるのは、プラスどころか大きなマイナスになってしまうのです。
治療内容への影響
虫歯の治療内容は常に同じではありません。
多くの人は「歯を削って詰め物で対処する」というイメージを持っているでしょうが、
虫歯の進行度によってはそれ以下の治療ですむ場合もあります。
例えば、完全な初期段階の虫歯なら削らずに治せることもありますし、
削ったとしてもその範囲はごく僅かで、削る痛みを一切感じることなく虫歯を治すことが可能です。
しかし、虫歯が酷く進行していれば逆に「歯を削って詰め物で対処する」以上の治療が必要です。
今回のテーマのように、歯の神経が死んでしまっていれば根管の清掃や消毒が必要になりますし、
削る範囲も深くなるため詰め物では対処できず、被せ物を立てなければならないこともあります。
治療が大きくなれば治療期間も長引きますし、その分治療費だって高くなってしまいます。
根管治療について
歯の神経が死ぬほどの虫歯になると、治療時に根管治療が必要になります。
さて、この根管治療とはどのような治療なのかについて説明します。
根管治療とは細菌に感染した神経を除去し、根管内の清掃や消毒を行う治療です。
ちなみに根管というのは文字どおり歯の根の管を意味しており、そこには神経が通っています。
清掃と消毒で根管内を綺麗にした後は薬剤を詰めて処置しますが、
この時細菌が残っていると再びその細菌が悪さをするので再治療が必要です。
さらに根管内の精密な治療は難しいため、その意味では難易度の高い治療と言えます。
このため、根管治療が必要な際は患者さんも歯科医院選びにこだわることをおすすめします。
経験と知識が豊富なレベルの高い歯科医から治療を受けた方が良いでしょう。
神経を除去した歯について
根管治療で神経を除去した歯は、例え虫歯が治っても神経が戻ることはありません。
このため、いくら根管治療が成功しても患部の歯への支障は避けられないのです。
具体的には、上記で挙げたように痛みという自覚症状を失ってしまうのが最大の支障です。
それ以外にも、栄養が行き届きにくくなることで象牙質の弾力が失われて歯が脆くなりますし、
歯の色も変色して見た目が悪くなってしまいます。
さらに神経や血管が本来持つ防御反応も失われ、他の歯に比べて弱くなってしまいます。
このように、いくら精密な根管治療を行ったとしてもこれらのリスクを避けることはできません。
その意味では、虫歯は最低でも神経まで進行前に治療しなければならないのです。
また神経が死んでない場合も、虫歯の進行度によってはこの根管治療が必要になることがあります。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、歯の神経が死ぬことについてまとめます。
1. 自覚症状が失われる問題 :痛みを感じなくなれば、歯の異状に気付くきっかけを失うことになる
2. 治療内容への影響 :虫歯治療は虫歯の進行度によって異なる。酷い虫歯なら治療も大きなものになる
3. 根管治療について :神経が死ぬほどだと根管治療が必要。根管内の清掃と消毒をする難易度が高い治療
4. 神経を除去した歯について :根管治療が成功しても、変色するや脆くなるなどの支障は避けられない
これら4つのことから、歯の神経が死ぬことについて分かります。
いくら痛みを感じなくなると言っても、神経が死ぬことは決して良いことではありません。
自覚症状が失われれば、虫歯を治療してもその後歯に問題が起こった時に気付けなくなるからです。
さらに神経を失った歯は脆く弱い状態にあるため、そういった問題が起こるリスクも高くなるのです。
このような事態を防ぐには、虫歯が神経に進行する前に治療するしかないですし、
そのためにはいち早く虫歯に気付いて治療する…つまり早期発見と早期治療の心掛けが大切です。