歯周病は何歳位から起こるものですか?

西早稲田の歯医者さん、西早稲田駅前歯科・小児歯科・矯正歯科です。
今回のテーマは「歯周病は何歳位から起こる病気なのか」です。
歯周病は高齢の人がなりやすいイメージがありますし、割合で判断すればそれは正論です。

しかし、「何歳から起こる病気」なのかと問われれば、その答えは高齢の人とは限らなくなってきます。
なぜなら、歯周病は高齢の人に起こりやすい病気ではあるものの、
高齢の人だけがなる病気ではないからです。そこで、何歳位から歯周病になるかを説明していきます。

1. 歯肉炎や歯周炎も歯周病

歯科検診を受けた時に、中には歯肉炎や歯周炎と診断されたことのある人もいるでしょうが、
実はこれらも歯周病に含まれています。歯周病は進行状況によって3段階に分けられており、
歯肉炎は1段階目(初期段階)、歯周炎は2段階目(中期段階)の歯周病であることを意味します。
特に歯周炎は歯周病の中期段階に相当するため、いち早く治療することが必要です。

ちなみに3段階目(重度段階)は歯槽膿漏を意味しており、
現在ではこうして歯肉炎や歯周炎や歯槽膿漏と名前を分けず、全てまとめて歯周病と呼ぶことが多いです。
このため、もしあなたが歯科検診で歯肉炎と診断されたとすれば、あなたも歯周病になっていますし、
そのまま治療しなければ歯周病はどんどん悪化してしまいます。

2. 歯周病の低年齢化

確かに歯周病は高齢の人に多い病気ですし、それはデータ上でも証明されています。
しかし、近年では歯周病の低年齢化も目立つようになっています。
小学生や中学生でさえ歯肉に何らかの問題を抱えていることが多く、歯肉からの出血も自覚しています。
子供の頃は新陳代謝も活発なので、歯周病になっても歯を失うほど進行させてしまうことはまずありません。

しかし、歯周病の初期段階に相当する歯肉になるケースは多く、決して歯肉が健康とは言えない状態です。
また、この年齢の子供の約4割が歯肉に問題を抱えていると報告させているため、
子供の歯周病は決して稀なケースではないのです。
現に子供の頃、学校の歯科検診などで歯肉炎を診断された人もいるのではないでしょうか。

3. 厚生労働省の「患者調査」から考える

厚生労働省は3年ごとに「患者調査」を実施していますが、
「歯肉炎及び歯周疾患」の総患者数(継続的な治療を受けていると推測される患者数)も公表されています。
最近のものでこれを挙げると、平成26年の「歯肉炎及び歯周疾患」の総患者数は331万5000人です。
では、この331万人という数字は多いのか?イメージしやすいよう他のメディアを例にして考えてみます。

例えば音楽で考えた場合、300万枚近く売れたCDを挙げるとサザンオールスターズのTSUNAMIです。
また、映画で考えた場合、国民的人気アニメのドラえもんが毎年350万人近くの観客動員数を誇っています。
どちらも記録として残る数字を誇っていることから、331万人という数字がいかに高いかが分かるでしょう。
つまり、これらのCDを購入した人や映画を観た人と同じくらいの割合で歯周病患者がいるということです。

4. 女性の方が歯周病になりやすい

歯周病患者を男女で比較すると、男性患者よりも女性患者の方が多い傾向があります。
ちなみにこれは偶然ではなく、歯周病は男性よりも女性の方がなりやすいのが事実です。
これには女性ホルモンの分泌が深く関わっており、
歯周病菌の中には女性ホルモンを栄養源としているものがあるからです。

このため、ホルモンバランスが大きく変化する思春期、妊娠、出産、更年期、
これらのタイミングでは歯周病にかかりやすくなるのです。
また、普段の月経周期でもホルモンバランスに変化が起こるため、生理前に歯肉が腫れることもあります。
さらに妊娠中の女性が歯周病になると、早産や低体重児を出産するリスクが格段に高まります。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、歯周病は何歳位から起こる病気なのかについてまとめます。

  1. 歯肉炎や歯周炎も歯周病 :歯肉炎は初期段階の歯周病、歯周炎は中期段階の歯周病と同じ
  2. 歯周病の低年齢化 :小学生や中学生でも全体の約4割が歯肉に問題を抱えている
  3. 厚生労働省の「患者調査」から考える :平成26年の歯肉炎及び歯周疾患の総患者数は331万5000人
  4. 女性の方が歯周病になりやすい :女性ホルモンの関係で、男性よりも女性の方が歯周病になりやすい

これら4つのことから、歯周病は何歳位から起こる病気なのかが分かります。
まるで高齢の人だけに起こるイメージの歯周病ですが、実際には若くても歯周病が起こります。
若い人が歯周病と無関係に思えるのは、重度段階まで進行するケースが少ないからでしょう。

歯周病の初期段階に相当する歯肉炎も含めれば、小学生のような小さな子供にも起こっているのです。
そう考えると怖い歯周病ですが、
しっかりと正しい歯磨きをして歯科医院で定期検診を受けていれば確実に予防することも可能です。