喫煙者ですが、インプラント治療はできますか?

喫煙者がインプラント治療を受けることは、様々なリスクが生じると言われています。
また、インプラント治療できない人の条件の中に「ヘビースモーカーの人」という項目も目にします。
そもそも、喫煙がインプラント治療にどう関係するのか?本当に喫煙者はインプラント治療できないのか?
今回は、喫煙とインプラント治療をテーマにして、その影響を中心に説明します。

1. インプラント治療はできない?

あくまで歯科医師の判断になりますが、治療できないと判断されるケースもありますし、
特にヘビースモーカーの患者さんの場合、そう判断される可能性が高いでしょう。
最も、治療できない理由は物理的に不可能というわけではなく、今後の安全性が主な理由になります。

喫煙者や非喫煙者に関わらず、インプラント治療をすること自体は可能です。
しかし、喫煙者の場合はその後インプラントに問題が生じる可能性が高くなり、
その危険性を考慮した上で、インプラント治療を受けられないことがあるのです。
では実際にどんな危険性があるのか、起こり得るいくつかの問題を以下の項目で説明していきます。

2. 歯周病になりやすい

タバコに含まれるニコチン、喫煙することによって生じる一酸化炭素、
これらは血流を悪化させる要因になりますが、血流が悪化することで唾液の分泌量も低下します。
唾液は元々殺菌効果を持っていますが、分泌量が低下することでその効果が弱まります。

そうなると口内に細菌が増えてしまい、それが歯周病を招いてしまうのです。
歯周病が悪化すればインプラントが抜け落ちてしまうため、
そのリスクを考えると喫煙者にインプラント治療はおススメできないのです。

3. インプラントが外れやすくなる

インプラントを安定させるためには、骨とインプラントをしっかりと結合させなければなりません。
そして、そのために必要なのは豊富な血流です。
一方、タバコにはニコチンが含まれていますが、ニコチンは血管を収縮させてしまいます。

さらに、喫煙によって生じた一酸化炭素が血流を悪くさせてしまうのです。
これらが原因で骨とインプラントの結合力は弱まり、インプラントが外れやすくなってしまうのです。
また、インプラントに付着する骨の新生も、喫煙によって妨げられてしまいます。

4. 治療の失敗率が高まる

テレビや新聞などで、インプラント治療の失敗のニュースや記事を目にした人もいると思いますが、
喫煙者と非喫煙者とを比較した場合、その失敗率に明らかに差があるのです。
実は、ある研究論文で喫煙とインプラントの関係をテーマにしたものがあります。

その内容によると、喫煙者がインプラント治療に失敗した割合は、
非喫煙者と比較した時、およそ4倍もの高さになっているのです。
つまり、喫煙しているというだけで、インプラント治療が失敗するリスクが高くなるのです。

5. インプラントの寿命が短くなる

インプラントがどれくらい長持ちするのか、それは患者さんの生活習慣に大きく左右されます。
定期的に噛み合わせを調整したり、口内のクリーニングなどのメンテナンス、
これらを欠かさずに行っていれば、それだけインプラントも長持ちするでしょう。

そんな中、喫煙はインプラントの寿命を短くする要因の一つと言われています。
ここで紹介したような歯周病を引き起こすリスクの高さ、
さらには細菌の感染など、長期間インプラントを使用する上で問題となる要素がいくつも存在するのです。

6. 治療の可否が分かれる理由

喫煙者のインプラント治療を行う歯科医院と行わない歯科医院がありますし、
術後の禁煙期間においても歯科医師ごとで意見が異なります。
このように治療の可否が分かれる理由は、治療するかどうかの判断はその場にいる歯科医師が行うためです。

失敗のリスクが高まる以上、治療はできないという考え方の歯科医師もいますし、
本数を減らしてくれれば治療可能だと考える歯科医師もいるのです。
どちらにしても言えるのは、喫煙はインプラント治療の危険因子であることに間違いないということです。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、喫煙者でもインプラント治療できるのかについてまとめます。

  1. インプラント治療はできない? :治療できたとしても、失敗のリスクは確実に高くなる
  2. 歯周病になりやすい :喫煙によって唾液の分泌量が低下するので、細菌が増えて歯周病になりやすい
  3. インプラントが外れやすくなる :血流が悪くなるため、その影響でインプラントが骨と結合しにくい
  4. 治療の失敗率が高まる :喫煙者は非喫煙者に比べてインプラント治療失敗のリスクが4倍高くなる
  5. インプラントの寿命が短くなる :細菌感染のリスクなどを考えると、インプラントの寿命は短くなる
  6. 治療の可否が分かれる理由 :治療可否の判断は医師ごとに異なるが、喫煙が危険要素であるのは確実

これら6つのことから、喫煙者でもインプラント治療できるのかが分かります。
喫煙者がインプラント治療をおススメできないのは、治療後のインプラントに問題が生じるからです。
インプラントが外れる、抜け落ちる、グラつくなど、実際にこうした状態になると大問題ですし、
喫煙することによって、そういったリスクが確実に高まってしまうのです。
安全性を考えるなら、インプラント治療するなら禁煙も決意する気持ちを持つべきです。