糖尿病ですが、インプラント治療はできますか?

インプラント治療できないケースの一つに、“糖尿病を持っている人”というのがあります。
しかし、糖尿病でもインプラント治療できたという人もいますし、やはりできなかったという人もいます。
では、なぜこのように二つのパターンが存在するのでしょうか?
糖尿病でもインプラント治療できたというのは、どういうケースなのでしょうか?
ここでは、糖尿病の患者さんがインプラント治療を希望するケースについて解説していきます。

1. インプラントに適さないのはなぜ?

糖尿病の患者さんは、身体の抵抗力と免疫力が低下している特徴を持っています。
このため、病院で行う治療によっては感染症を引き起こすリスクを伴います。
インプラントは歯科医院で行う治療ですが、治療内容自体は外科同様に大掛かりなものになります。
二度も手術を行いますし、当然その際には出血もあり、出血することで感染症の危険性があります。

糖尿病で血糖値が高くなっていると、感染症のリスクがより高まるため、
それが理由でインプラント治療できないことがあるのです。
傷が治癒するスピードも遅く、抵抗力や免疫力が低下していることで歯周病も引き起こしやすいのです。
インプラント治療の安全性を考えると、糖尿病の患者さんはこうした危険要素がいくつもあるのです。

2. インプラントできるケースは?

ポイントになるのは、血糖値をコントロールできているかどうかです。
血糖値が高いと感染症へのリスクはより高まりますし、傷の回復が遅いのも血糖値の高さが関係します。
つまり、言い方をかえれば血糖値がコントロールできている患者さんは、
こうしたリスクが軽減されるため、インプラント治療を受けることができるのです。

ちなみに、インプラント治療は本格的な治療を行う前に精密検査を行うため、
この時点で患者さんがインプラント治療できるかどうかが判断されます。
もしインプラント治療できない場合は、入れ歯やブリッジの選択肢があります。
これらは治療の過程で外科手術を必要としないため、糖尿病の患者さんでも受けられます。

3. 糖尿病でインプラント治療したい時は?

まず、歯科医院に行った際に、担当の歯科医に糖尿病のことを告げてください。
薬を服用している場合は、その薬やインスリンの種類はもちろん、量も伝える必要があります。
この際、担当の歯科医が糖尿病の主治医に連絡をとることがあり、
患者さんがインプラント治療を希望していることを伝えます。

と言うのも、歯科医は歯の治療を行う医師であるため、糖尿病は専門分野ではないのです。
このため、糖尿病の主治医に具体的な症状や薬に関しての確認を行います。
その意味では、患者さん自身が糖尿病であることを歯科医に伝えるのは大切ですが、
担当する歯科医もまた、糖尿病の主治医としっかりと連携する必要があるのです。

4. 発作が起こる心配は?

患者さんによっては、糖尿病が原因で低血糖発作を起こした経験がある人もいると思います。
この低血糖発作はインプラントの治療中に起こることも考えられるので、そのための対処が必要です。
低血糖発作が起きた場合、対処として最も効果的なのは糖分を摂取することです。

このため、インプラント治療を行う際には万一の発作に備え、アメ玉などを持っておくと安心です。
また、低血糖発作が起きにくいタイミングを狙って治療するのもおススメです。
ちなみに、食後は発作が起こりにくいので、食後にあたる時間に治療を行うとより安全性が増します。

5. 治療後のメンテナンスは必須?

血糖値がコントロールできる患者さんなら、糖尿病でもインプラント治療を受けられます。
インプラント治療できたといって安心するのではなく、治療後にも注意が必要です。
何しろ糖尿病を持っていることで、他の患者さんよりも歯周病を引き起こしやすいからです。

実はインプラントにとって歯周病は厄介な病気で、まさに天敵ともいうべき存在なのです。
さらに歯周病は自覚症状がなく気づきにくいため、定期的に歯科医院でチェックしてもらう必要があります。
それを行うのが治療後のメンテナンスなので、治療が終わったといってメンテナンスを怠るのは厳禁です。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、糖尿病でもインプラントできるのかをまとめます。

  1. インプラントに適さないのはなぜ? :感染症を引き起こしやすく、傷の回復も遅いのでおススメできない
  2. インプラントできるケースは? :血糖値がコントロールできることが条件
  3. 糖尿病でインプラント治療したい時は? :まず歯科医に伝える。糖尿病の主治医に連絡することもある
  4. 発作が起こる心配は? :低血糖発作に備えて、糖分摂取のためにアメ玉などを持っていると安心
  5. 治療後のメンテナンスは必須? :歯周病を引き起こしやすいため、その予防のためにも必須

これら5つのことから、糖尿病でもインプラントできるのかが分かります。
糖尿病というだけでは、インプラント治療できるかどうかは判断できません。
判断基準になるのは血糖値をコントロールできるかどうかであり、
その点に問題がなければインプラント治療を行えます。