金属アレルギーですが、インプラントはできますか?

金属アレルギーを持っている人は、歯科治療において不安に感じる部分がいくつもあるでしょう。
その一つがインプラント治療で、例え興味があっても治療に抵抗があるという人がほとんどです。
複数のパーツから成り立っているインプラントは、構造を考えれば金属の使用が予想できるため、
インプラント治療は金属アレルギーを引き起こすと考える人が多いのも当然です。
ここでは、実際に金属アレルギーの患者さんがインプラント治療できるのかを説明していきます。

1. インプラントで使用する金属

インプラントの構造は、被せ物となる上部構造と人工の歯の根であるインプラント体、
これらを連結するためのアバットメント、これら3つのパーツから成っています。
この中で、上部構造とアバットメントに関しては、非金属製の素材を選択することができます。
例えば、上部構造においては見栄えも実用性も高い、セラミックを希望する患者さんが多いですね。

ただし、インプラント体に関しては素材を選ぶことができません。
と言うのも、日本の厚労省で認められたインプラント体は、
2016年時点で医療用グレードチタンのみと限定されているからです。
つまり、インプラント体に関してはチタンが素材となるため、金属を使用することになります。

2. 非金属製のインプラント体の存在

上記で説明したように、現在厚労省で認められたインプラント体は、医療用グレードチタンのみです。
ただし、これは日本国内の話であって、海外の場合は異なります。
海外では金属とは違ったジルコニアのインプラント体を販売しており、
さらに患者さんの同意があれば、歯科医が個人輸入して販売し、使用することが認められています。

もちろん、これは歯科医の責任の下で行わなければならないですし、
全ての歯科医院で行っているわけではありません。
このため、中には非金属製のインプラント体を使用する歯科医院があるのです。
もし口コミなどで非金属製のインプラント体を使ったという声があれば、それはこういう事情によるものです。

3. チタンの安全性

金属アレルギーは、何も全ての金属がアレルギー対象になるわけではありません。
アレルギーを引き起こしやすい金属とそうでない金属があり、
銀、クロム、ニッケルなどがアレルギーを引き起こしやすいと言われています。
逆に、アレルギーを引き起こしにくいと言われている金属がチタンです。

つまり、インプラント体で使用されているチタンは、金属アレルギーを引き起こす可能性が低いのです。
このチタンの安全性の高さは様々な分野で活かされており、
医療の世界ではペースメーカーや、骨折の治療で使用する固定ボルトなどに応用されています。
もっと身近な例で例えるなら、ファッションの世界ではアクセサリーや腕時計でもチタンが使用されています。

4. 金属アレルギーを引き起こす可能性

結論から言うと、残念ながらこれはゼロではありません。
可能性は極めて低いものの、実際にチタンアレルギーを持つ人は存在しています。
いくつかの有名な大学などでテストした結果では、
1%近くの割合ですがチタンアレルギーの陽性反応がでた人もいるのです。

このため、チタンなら絶対にアレルギーを引き起こさないとは言えないのです。
ただし、引き起こす可能性は極めて低いですし、実際にインプラント治療することは可能です。
心配な患者さんは、治療前に皮膚科などでパッチテストを行っておくと確実です。
パッチテストで反応がでなければ、安心してインプラント治療に臨むことができます。

5. アレルギーを引き起こした時の対処

もし治療後に金属アレルギーを引き起こした場合、インプラントを除去しなければなりません。
原因を取り除かないことには改善されないですし、インプラント治療は断念することになります。
この場合、インプラントの代わりとして入れ歯やブリッジでの治療をおススメします。

また、最も注意が必要なのは我慢しないことです。
金属アレルギー反応を、単なる治療後の違和感と考えてしまうのは危険ですし、
もし治療後に何らかの違和感があった場合は、すぐに歯科医に申し出てください。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、金属アレルギーでもインプラントできるのかについてまとめます。

  1. インプラントで使用する金属 :ほとんどの歯科医院が、インプラント体にチタンを使っている
  2. 非金属製のインプラント体の存在 :個人輸入で非金属製のインプラント体を使う歯科医院もある
  3. チタンの安全性 :金属の中でもアレルギーを引き起こす可能性が極めて低い
  4. 金属アレルギーを引き起こす可能性 :可能性はゼロではない。チタンアレルギーの患者さんもいる
  5. アレルギーを引き起こした時の対処 :インプラントを除去して、入れ歯やブリッジで対応する

これら5つのことから、金属アレルギーでもインプラントできるのかが分かります。
金属アレルギーでもインプラント治療はできますし、チタンを使うために安全性も高いです。
とは言え、チタンアレルギーを引き起こす例もあるため、事前にパッチテストしておくのが確実です。
実際に、金属アレルギーでも安全にインプラント治療できたという声がほとんどです。