• ホーム
  • ブログ
  • 最先端の歯周病治療があると聞きましたが、どんなものがありますが?

最先端の歯周病治療があると聞きましたが、どんなものがありますが?

西早稲田の歯医者さん、西早稲田駅前歯科・小児歯科・矯正歯科です。
今回のテーマは「最先端の歯周病治療」です。
歯周病治療の基本は患者さんによるプラークコントロール、さらにプラークや歯石の除去です。

また、歯周病が進行した場合は歯周ポケットを清掃するためにフラップ手術を行います。
さて、歯周病の治療方法を解説すると大抵これらの方法が挙げられますが、
実際にはまだ他の治療方法もあり、中には新しい技術を導入した最先端の治療方法も存在します。

骨の再生療法

歯周病が進行すると歯を支える歯槽骨が溶かされます。
そして、溶かされた歯槽骨は通常なら歯周病を治しても再生することはありません。
しかし、骨の再生療法を行うことで溶かされた歯槽骨の再生を促すことができます。

・GTR法
GTR法は最先端の治療ではなく、実は1980年代から存在する方法です。
歯肉を切開し、骨を失った箇所に医療用のゴアテックスの皮膚を設置して再び歯肉を縫合します。
そうすることで余計な歯周組織が入り込まないため、溶かされた歯槽骨の再生を促せます。

・エムドゲイン法
エムドゲインとはスウェーデンの豚の歯の芽から抽出したタンパクです。
歯肉を切開し、骨を失った箇所にエムドゲインを塗布して再び歯肉を縫合します。
そうすることで初めて歯が生えた環境と似た環境を再現でき、溶かされた歯槽骨の再生を促せます。

骨の再生療法の欠点

骨の再生療法にはGTR法とエムドゲイン法の2つの方法がありますが、これらに共通する欠点が2つあります。
1つはこうした治療方法を行っている歯科医院が少ないことで、
患者さんの住む環境によっては骨の再生療法を行っている歯科医院を探すだけで苦労するでしょう。

もう1つの欠点は対応できる症例が限られていることで、
どんな場合でも溶かされた歯槽骨の再生を促せるとまでは言えません。
また、例え再生できたとしても完全に元どおりになるわけではなく、再生できる範囲には限界があります。

PDT治療

光力学療法とされるもので、最新技術を用いたバイオテクノロジー治療です。
光力学という点から推測できるとおり、簡単に言えば歯周病に対するレーザー治療です。
まず光感受性物質を投与して、レーザーによる光の波長を照射して活性化させます。

これによって薬理作用が生まれ、歯周病菌を光殺菌して歯周病を治すことができるのです。
この治療方法の技術は歯科だけでなく肺がんの治療にも応用されており、
バイオジェルの注入とレーザー照射の2ステップのみで行える簡単さがメリットです。

PDT治療の欠点

PDT治療には2つの欠点があり、1つは骨の再生療法同様に対応している歯科医院が少ないことです。
また、もう1つの欠点はPDT治療ではイメージほど簡単には歯周病を治せないということです。
と言うのも、イメージ的には歯周病になってもレーザー照射で即完治させられるように思えます。

しかし実際にはそうではなく、PDT治療を行う場合は既に歯周病の基本治療を終えていなければなりません。
その上で継続的安定化治療に入っている…これがPDT治療を行う上での前提となります。
つまり例えPDT治療を希望したとしても、まずは一定期間従来の歯周病治療を行う必要があるのです。

歯周内科治療

歯周病は歯周病菌に感染することで起こります。
細菌に感染して起こるわけで、その点では細菌の感染症である風邪と全く同じ特徴を持っています。
さて、風邪は風邪薬で治りますから、風邪と同じ特徴を持った歯周病菌も薬で治せる…これが元々の発想です。

つまり、歯周内科治療とは薬の力によって歯周病を治す治療方法です。
デジタルパノラマレントゲンなどを使用して病巣部や細菌の状態を確認、
その後は器具などを使用することなく処方された薬を飲むことで歯周病を治せます。

歯周内科治療の欠点

風邪と同じ感覚で治せると思ってしまうと、手間に感じる部分があるかもしれません。
風邪の場合は薬を飲んで治ったらそれで終わりですが、歯周病の場合は再発の可能性があります。
歯周内科治療で歯周病を治した場合でもそれは例外ではなく、再発に注意しなければなりません。

このため、治療後は定期的に検診を受ける…つまり通院の必要があるのです。
元々歯周病は治療後もメンテナンス目的での通院が必要なのですが、
歯周内科治療においてもそれは同じで、「薬を飲むだけで通院の必要がない」というわけではありません。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、最先端の歯周病治療についてまとめます。

1. 骨の再生療法 :溶かされた歯槽骨の再生を促す治療方法で、GTR法やエムドゲイン法がある
2. PDT治療 :歯周病におけるレーザー治療で、レーザー照射によって歯周ポケットの細菌を駆除する
3. 歯周内科治療 :風邪薬で風邪を治すように、処方された薬を飲んで歯周病を治す治療方法

これら3つのことから、最先端の歯周病について分かります。
従来の治療方法に加え、歯周病治療にはこのような方法があります。
ただしどの方法においても欠点があるため、決して万能な治療方法とは思わないでください。

その意味でもやはり予防は大切で、
例えば骨の再生療法を行ったとしても溶かされた歯槽骨が100%元に戻るわけではないのです。
最先端の治療方法があるから歯周病になっても問題ない…そう思ってはいけません。