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歯周病ですが虫歯はありません。このようにどちらか一方だけ起こるのは稀ですか?

西早稲田の歯医者さん、西早稲田駅前歯科・小児歯科・矯正歯科です。
今回のテーマは「歯周病と虫歯になるリスク」です。
歯周病と虫歯は全く別の病気ですが、実は予防方法においては同じです。

では予防方法が同じである以上、しっかり予防していれば虫歯と歯周病の両方を予防できるのでしょうか。
この場合、確かに予防はできますが100%予防できるとまでは断言できないですし、
同じ予防方法でありながら虫歯か歯周病のどちらか一方だけ起こることもあります。

原因菌について

虫歯と歯周病は細菌に感染することで起こりますが、その細菌の種類は全くの別物です。
虫歯の場合、原因菌として多いのはミュータンス菌やラクトバチルス菌です。
一方歯周病の場合、原因菌として多いのはジンジバリス菌やフォーサイセンシス菌です。

これらの細菌の名前まで覚える必要はないですが、
重要なポイントとして覚えておくべきなのは「原因菌が異なる」という点です。
さて、今回のテーマは「虫歯と歯周病で一方だけ起こるケースは稀なのか?」です。

そして虫歯と歯周病では原因菌が異なると分かった以上、
「虫歯と歯周病で一方だけ起こるのは決して稀ではない」ということが分かります。
風邪の菌は予防できてもインフルエンザの菌が予防できないことがある…これと全く同じ理論です。

歯磨きによるプラークの除去率

虫歯の原因菌も歯周病の原因菌もプラークの中に存在します。
そして、プラークを除去するためには歯磨きが必要です。
ここで問題なのは、「歯磨きでどのくらいのプラークを除去できるのか」という点です。

一般的にブラッシングだけの歯磨きの場合、プラークの除去率は約6割とされています。
仮にデンタルフロスや歯間ブラシを使用した場合、プラークの除去率は約8割とされています。
つまり、歯磨きではプラークを100%除去できていないことになります。

歯磨きで8割のプラークを除去し、さらにその中に虫歯の原因菌が潜んでいたなら虫歯は予防できるでしょう。
しかし、残った2割のプラークの中に歯周病の原因菌が潜んでいたらどうなるでしょうか。
この場合、虫歯は予防できても歯周病は予防できないという事態になるのです。

人から人にうつる虫歯と歯周病

虫歯も歯周病も細菌による感染症で、唾液を介して人から人にうつる特徴を持っています。
例えば子供の虫歯や歯周病予防を徹底している親が虫歯だったとして、親子で食器を共用したとします。
この場合、唾液を介して親の持つ虫歯の原因菌が子供にうつることになるのです。

そうすると、予防を徹底していたはずの子供が虫歯になってしまうリスクが高まります。
これもまた、虫歯と歯周病でどちらか一方だけ起こる要因になり得ます。
唾液を介す行為をした相手が虫歯か歯周病になっていれば、その原因菌がうつされてしまうからです。

仮に虫歯も歯周病もない女性がいたとして、その女性の恋人が歯周病だったとすれば、
恋人とのキスで唾液が介され女性に歯周病の原因菌がうつってしまいます。
その結果、虫歯はなくても歯周病にはなってしまうという事態が起こるのです。

虫歯や歯周病になるリスクの違い

虫歯になりやすい人、歯周病になりやすい人…それぞれの人の特徴はイコールではありません。
ちなみに虫歯になりやすい人の特徴としては、
「唾液がネバついている」、「糖を摂取する機会が多い」などが挙げられます。

一方歯周病になりやすい人の特徴としては、
「女性ホルモンの分泌が過剰な女性」、「喫煙している」、「糖尿病になっている」などが挙げられます。
そして、この事実もまた虫歯と歯周病でどちらか一方だけ起こる要因になり得えるのです。

例えば糖を摂取する機会の多い人が虫歯や歯周病予防を徹底していたとしても、
その人は糖を摂取するという生活習慣上、虫歯は予防しにくくなります。
その結果、歯周病は予防できても虫歯は予防できない可能性が高いのです。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、歯周病と虫歯になるリスクについてまとめます。

1. 原因菌について :虫歯と歯周病の原因菌は全くの別物のため、一方だけ発症することもある
2. 歯磨きによるプラークの除去率 :歯磨きでも一定のプラークが残るため、一方の原因菌が残ることがある
3. 人から人にうつる虫歯と歯周病 :唾液を介すことで虫歯や歯周病の原因菌は人から人にうつる
4. 虫歯や歯周病になるリスクの違い :それぞれの病気が発症しやすい人の特徴は同じではない

これら4つのことから、歯周病と虫歯になるリスクについて分かります。
歯周病と虫歯でどちらか一方だけ起こるのは稀ではありません。
つまり虫歯がないからと言って歯周病がないとは限らないですし、その逆のことも言えます。

両方を確実に予防するには、自分がどちらの病気になりやすいかを知ることも大切で、
それを知っておけば予防もしやすくなるでしょう。例えば歯磨き時に使用するデンタルフロスや歯間ブラシ、
デンタルフロスは虫歯予防、歯間ブラシは歯周病予防に効果的とされているので使い分けが可能です。