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歯が動いたような、浮いたような感じがします。原因としてどのようなものが考えられますか?

歯がグラグラと動く感じがするなら、最も考えられる原因は歯周病です。
歯周病は、口腔内においては虫歯と同じくらい知名度の高い病気ですが、
名前は聞いたことがあっても具体的な症状は知らないという人も多いですね。
そこで、歯のグラつきとの関連を交えながら歯周病について説明していきます。

1. 歯周病はどんな病気?

名前から連想できるとおり、歯の周りの病気です。
きっかけは、プラークや歯石に含まれる細菌によって歯肉が炎症を起こします。
そして、進行すると歯を支える骨が溶けていき、歯と歯肉の隙間がどんどん大きくなります。
ちなみに、この隙間のことを歯周ポケットと呼びます。

歯を支える骨が溶けて歯周ポケットが広がることで、安定して歯を支えられなくなるのです。
今回テーマに挙げた歯のグラつきは、この時の症状と一致しており、
これは歯周病がある程度進行している状態です。
さらに進行すると症状はより酷くなり、やがて歯が抜け落ちてしまうのです。

2. 今まで何ともなかったのはなぜ?

上記で説明したように、歯がグラつくのは歯周病がある程度進行している証です。
最も、患者さんとすれば歯がグラつくことに気付いたものの、
それ以前は何も違和感がなかったと思うかもしれません。
ではこの場合、突如歯周病が発生して突如悪化したということなのでしょうか?

そんなことはありません。この場合、実は以前から歯周病になっていたことになります。
ではなぜ今まで何ともなかったのか?それは、歯周病の初期段階では自覚症状がないからです。
このため、自分が歯周病であることに全く気付かず、
グラつくほど進行して初めて気付いたということになります。こうしたケースは珍しくありません。

3. 歯周病が進行する原因は?

歯周病を引き起こしているのは、口内のプラークや歯石です。
これらは除去しない限り毒素を出し続けるため、それが歯周病を進行させてしまいます。
と言うことは、プラークや歯石を完全に除去すれば進行が止まりますが、それには二つの問題点があります。
一つは、ブラッシングでは歯石を除去できないということです。

食べカスでもあるプラークはブラッシングで除去できるものの、
プラークが石灰化した歯石はブラッシングを行っても除去できないのです。
もう一つの問題点は、果たしてブラッシングでプラークを完全に除去できるのかということです。
いくら丁寧に歯磨きしたところで、口内のプラーク全てを完全に除去することはまず不可能です。

4. 歯周病は予防できないの?

予防策の基本は毎日のブラッシングですが、上記で説明した理由から分かるとおり、
ブラッシングだけで完全に予防することは困難です。
効果的な予防策は、ブラッシングに加えて歯科医院で定期検診を受けることです。
口内のクリーニングを行えば、プラークはもちろん歯石の除去も可能です。

また、何より定期検診を受けていれば、初期段階の歯周病も発見することができるのです。
つまり、歯科医院で定期検診を受ける習慣を持っていれば、
歯周病予防だけでなく、歯周病の早期発見と早期治療も容易に実現できるのです。

5. どんな方法で治療するの?

患者さんとすれば、これが最も気になる点だと思います。
ちなみに、テーマに合わせて歯がグラつくほど進行した場合の歯周病治療を説明します。
基本となるのはプラークコントロールや歯石などの汚れの除去で、
これらは進行度に関係なく歯周病治療では必ず行われます。

また、歯がグラつくほど進行していると、必要に応じて抜歯や歯周外科手術も行います。
さらに、歯並びの悪さが歯周病の要因の一つになっている場合は、
患者さんに説明した上で並行して矯正治療を行うことを勧めます。
治療後は再度検査やメンテナンスを行い、今後の歯周病予防の対策も万全に行います。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、歯がグラついて動く感じがした時に考えられる原因についてまとめます。

  1. 歯周病はどんな病気? :プラークや歯石によって歯肉が炎症を起こし、やがて歯を支える骨を溶かす
  2. 今まで何ともなかったのはなぜ? :初期は自覚症状がないため、歯周病であることに気付かなかった
  3. 歯周病が進行する原因は? :プラークや歯石。これらを完全に除去しない限り、進行し続ける
  4. 歯周病は予防できないの? :ブラッシングだけでは困難。歯科医院で定期検診を受けるといい
  5. どんな方法で治療するの? :プラークコントロールや歯石の除去。重度だと抜歯や手術を行うこともある

これら5つのことから、歯がグラついて動く感じがした時に考えられる原因が分かります。
歯周病は直接の痛みがない分、虫歯に比べて軽視されがちです。
しかし、日本人が歯を失う要因のトップとなるのが歯周病であり、実は怖い病気なのです。

とは言え、しっかりと予防や早期発見、早期治療ができれば問題ありません。
そのためには、歯科医院で定期検診を行うのが一番ですし、
自覚症状なない分、自身の力だけで完全に予防するのは難しいのです。