インプラントの手術は痛いですか?

患者さんがインプラント治療に最も抱く不安、それはおそらく手術の痛みでしょう。
とは言え、インプラントは失った歯を取り戻せると言われるほど、天然の歯に近い感覚で生活できます。
このため、“興味はあるけど怖い”というのが多くの人の本音だと思います。
そこで、誰もが気にするインプラントの手術の痛みについて説明していきます。

1. 手術は一回でいいの?

基本的には一次手術、二次手術と二回行いますが、立て続けに行うわけではありません。
箇所によりますが、一次手術の後に最低でも二ヶ月ほど期間を空けることになります。
また、インプラントの手術と聞くと、「顎の骨に穴を空けてパーツを埋め込む」と想像すると思いますが、
これは一次手術で全て行いますし、二次手術はそこまで大掛かりなものにはなりません。

ちなみに、今では一回の手術だけで済む「一回法」という治療方法があります。
ただしこれは、患者さんの希望はともかく、骨の状況で使い分けられることが多いため、
仮に一回で終えたいと希望してもそれができないことがあります。

2. 手術は痛いの?

無痛とまではいきませんが、麻酔を使用するためそこまで大きな痛みはありません。
少なくとも、麻酔が浸透しにくい親知らずの抜歯などの方が痛みは大きいくらいです。
抜歯の場合、そこに歯が存在するため、その影響で麻酔が奥まで浸透しにくいのです。

一方、インプラントは歯がない箇所に麻酔を行うため、しっかりと奥まで浸透して痛みが軽減されるのです。
他の手術でも言えることですが、このように手術そのものの痛みはそこまで大きなものではありません。
むしろ、手術前に感じる恐怖や不安の方が嫌だという人がほとんどです。

3. 怖いのはどうにもならない?

上記で説明したように、手術そのものの痛みよりも手術前の恐怖の方が厄介です。
怖い、緊張する、これは誰でも抱く感情ですし、回避できるものではありません。
しかし、インプラント治療ではこうした恐怖への配慮も考えられています。

歯科医院によりますが、中には麻酔を点滴式で行う鎮静法を導入しているところもあり、
鎮静法ではその名のとおり、気分もリラックスさせる効果があります。
半ば眠ったような気分で落ち着けますし、手術のその間に終わります。

4. 手術後は痛い?

手術中と手術後、痛みを感じるようになるのは後者の手術後になります。
これも他の手術と全く同じ理由ですが、手術後はいずれ麻酔が切れてしまうからです。
このため、麻酔が切れれば痛みは感じるようになりますが、これも対処は可能です。

基本は痛み止めで対処することになりますが、
麻酔が効いている間に飲んでおくことで、麻酔が切れた時点で痛み止めの効果を得られます。
つまり、あらかじめ痛み止めを飲んでおき、麻酔が切れた後の痛みを抑えるわけです。
ちなみに、麻酔は手術後1時間~2時間ほどで切れます。

5. 手術後の注意点は?

手術後の日常生活では、ささいな行動によって痛みを招くことがあります。
特に注意が必要なのは、喫煙、飲酒、入浴です。まず喫煙ですが、これは傷の治りを遅くさせてしまうため、
その分細菌に感染するリスクが高まり、それが痛みを招く要因になります。

また、飲酒と入浴ですが、これらを行うことで血行が良くなり、出血を招く恐れがあるのです。
ちなみに、血行が良くなる行為を挙げると、運動にも同じことが言えます。
とは言え、運動と飲酒はともかく入浴はしたいでしょうから、
手術後の数日間は湯船に浸かるのを控え、シャワーだけにしておくと安全です。

6. それでも痛くなったら?

手術中でも手術後でも、もし我慢できないほどの痛みに覆われたら、
その時は絶対に我慢していてはいけません。
“これくらい痛むのは当然かもしれない”という先入観を持つのも危険です。

本当に痛くなったら、すみやかに担当の歯科医師に相談してください。
やむを得ない痛みの可能性もありますが、もしかしてそうでない可能性もあるのです。
また、痛みに限らず体調に異変あった際も同様に相談するようにしてください。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、インプラントの手術は痛むのかについてまとめます。

  1. 手術は一回でいいの? :基本は二回だが、大掛かりな手術は一回だけ。一回で終わらせる方法もある
  2. 手術は痛いの? :麻酔が効いているのでそこまで痛みは感じない。痛みよりも恐怖の方が強い
  3. 怖いのはどうにもならない? :歯科医院によっては、リラックスできる鎮静法を導入している
  4. 手術後は痛い? :麻酔が切れると痛むため、麻酔が効いている間に痛み止めを飲むといい
  5. 手術後の注意点は? :飲酒、入浴などの血行が良くなる行為には要注意。喫煙もNG
  6. それでも痛くなったら? :我慢せず、担当の歯科医師に必ず相談すること

これら6つのことから、インプラントの手術は痛むのかが分かります。
治療内容を聞くと不安に思うでしょうが、実際の痛みは麻酔によって大幅に軽減されます。
それよりも、恐怖心が強い患者さんがほとんどです。

現在のインプラント治療では、手術時の麻酔はもちろん、鎮静法を用いた恐怖への対処、
さらには手術後の痛み対策もしっかり考えられています。
このため、実際の時には思っているような痛みや不安を抱くことなく治療を受けられます。